ロシア人専門家、米国のB61-12核実験は限定的核戦争への準備

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世界のマスコミは新たな核爆弾B61-12の初の夏季実験を行ったと報じた。ただし、ロシアの専門家らは核実験が行われたのは実は新型の核爆弾ではなく、1960年代に作られたものの刷新バージョンであり、たいした意義をもつ出来事ではなかったとの見方を示している。

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有名なロシア人軍事専門家のヴァシーリー・カーシン氏は今回の核実験について、必要に迫られて行われた措置との見方を示し、次のように語っている。

「いかなる核兵器も非常に複雑な構造をもっており、その使用期限も限りがある。ある一定の割合でこれは作り変えられ、刷新されねばならない。フガス爆弾のように倉庫に置きっぱなしというわけにはいかないのだ。

仮に爆弾がたとえば1960年代に開発されたものであれば、その学術調査的上の、また設計上の作業は途切れずに行われていくだろう。なぜならこのベースとなる構造はエレクトロニクスの主要な要素の変化、技術、マテリアルの変化に適応させていく必要があるからだ。このほか、米国にとっては、武器弾薬の使用有効期限を長くし、その安全性を向上させることが重要な作業の方向性となっている。つまり米国は、主たる尽力を今ある武器をいつでも使用できる状態に保っておくことに仕向けているわけだ。だが、この枠内では研究は行わず、武器の刷新バージョンを作らないということはできない。」

こうなると、なんのためにB61-12のような原子爆弾が必要か、こうした実験の本当の意味はなんだろうかという疑問がわく。この問いにモスクワ国際関係大学、軍事政治調査センターのアレクセイ・ポドベレズキン所長は次のように答えている。

「実際、米国の軍事政策では何かが偶然に行われることはない。核兵器開発のコンセプト案があるだけでなく、それに応じた軍事技術の必要性も核兵器の実験にはある。

端的にいうと、この実験の意味は次のようになる。米国は高精度兵器と小型の威力を持つ核兵器のポテンシャルをなんとしても開発せねばならない。これが戦略的ないし作戦的な武器弾薬になるのかどうかは重要なことではない。なぜなら作戦的な武器弾薬も戦略的課題を遂行できるのは単にその精度の高さによって戦略的標的を破壊できる能力があるからなのだ。

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現在、威力の大きい核兵器は要らない。高い精度のおかげで、標的は一般の武器弾薬ないしは小型の核兵器で破壊することができる。

米国は大規模な戦争に備えている。これには軍事紛争がエスカレーしないよう、厳しいコントロールがなされている場所での個々の戦闘行為も含まれる。なぜならより高いレベルへ、より強力な兵器の使用への移行はそれに勝る兵器で抑止されるからだ。

この、軍事紛争の低いレベルで軍隊を使用するポテンシャルを拡大するために米国が必要とするのもののなかには、かつて、欧州で戦争を行なうために開発された種類の兵器が含まれる。これはつまり作戦用武器弾薬であり、それに核兵器も含まれるのだ。これは米国が個々の戦闘場面で、たとえば東南アジアで中国と紛争が起きた場合に優位を保つことを保障する。 そしてこれは、1億ドルもするミサイルで100万ドル程度の値段の標的を攻撃するのが馬鹿らしいというだけではない。強力な戦略核兵器を地域戦争などで用いてはならないからだ。これは双方にとって危険だからである。米国も中国も地域的な紛争をグローバルレベルの核戦争に拡大することには関心を抱いていない。だが危険なのは、たとえば南シナ海で、また台湾が原因で紛争が引き起こされた場合、どう戦争行為が広がって行くかが予測できないことにある。」

簡単にいうと、今回米国が実験したB61-12のような小型でかつ高精度の核兵器を持つ場合、核のハルマゲドンから世界を救うことはできないことになる。

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