若田光一宇宙飛行士、モスクワで講演

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若田光一宇宙飛行士、モスクワで講演 - Sputnik 日本
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宇宙飛行士の若田光一さんは12日、モスクワ市内のホテルで講演した。会場にはモスクワ日本人学校の生徒を含む300名超が詰め掛け、熱心に若田さんの話に耳を傾けていた。若田さんはこの前日、141日間にわたるミッションを完了して国際宇宙ステーション(ISS)からカザフスタンに帰還した油井亀美也さんを出迎えた後、モスクワに立ち寄った。

若田さんは講演で、宇宙ステーションの目的は、宇宙の環境を使って色々な実験や観測をすることで、宇宙飛行士の仕事は「地上にいる科学者の目となり手となって、様々な実験をすること」とだと述べた。

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日本は宇宙の理科の実験室「きぼう実験棟」を有している。きぼうは、日本国内の650社が開発・運用に参加し、オールジャパンで作り上げたものだ。実験の中でも特に注目され、日本が世界をリードしている分野は、タンパク質の結晶生成実験だ。これは日本とロシアが二国間で協力して進めている実験のひとつでもある。地上では密度の異なる物体を一本のボトルに入れると、重い方が下に下がり軽い方が上に来るが、宇宙では両者が均等に交じり合う。この原理を利用し、良質のタンパク質の結晶を生成することができる。これを地上に持ち帰り解析することで、筋ジストロフィーの特効薬や、抗生物質を分解する酵素に対抗する新薬の開発に役立てることができる。

また、日本はISSに物資を運ぶ「こうのとり」を日本企業約400社の協力により開発した。こうのとりは今や6トンの物資を運ぶことができる。油井さんは今年8月、ロボットアームを巧みに操作し、こうのとりをキャッチした。

既に、ロシア、アメリカに次ぎ、日本人宇宙飛行士の宇宙総滞在期間は世界3位となっており、若田さんは日本人宇宙飛行士の中でISS滞在の最長記録を持っている。若田さんはISSに2009年に137日間滞在した際のことを振り返り、「人類世界最長の宇宙飛行記録をもっている船長のゲンナージー・パダルカさんからは、長期滞在のテクニック、国際的な仲間たちをいかにまとめていくか等、本当にたくさんのことを学びました。」と述べた。その次のフライトでは、若田さん自身が日本人初のISS船長に抜擢された。若田さんは、日本が「きぼう」や「こうのとり」でのミッションを着実・正確にこなしてきたことが、日本への信頼につながり、日本人に船長をさせてもよいという流れにつながったのではないかと述べた。

若田さんは、ロシアとアメリカの宇宙服の違いについても教えてくれた。アメリカの宇宙服はヘルメット・上半身・下半身の3つにわかれており、一人で着脱できない。ロシアの宇宙服は全てがつながっていて背中にドアがついているので、一人で着ることができる。この点ではロシアの宇宙服の方が便利だが、ロシアの宇宙服には高い圧力がかかっているため、着心地がごわごわしているという。ロシアの宇宙服の内部には空気を循環させるファンが2つついているので、1つ壊れても大丈夫だということだ。

宇宙空間では水はとても貴重だ。尿や汗などをリサイクルし飲料水に変えるシステムが整っている。若田さんは「宇宙では、昨日のコーヒーが明日のコーヒーになるんです。これが究極のリサイクルですね」と述べ、会場を笑いの渦に巻き込んだ。

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