東京新聞の報道では、原油価格の低迷は、米国におけるシェールオイルの生産に否定的な影響を与える可能性がある。シェールオイルを採掘しても採算が合わないといったケースも考えられるからだ。一方OPEC,サウジアラビアそしてアラブ首長国連邦は、原油の採掘を減らさない意向を明らかにした。アラブ首長国連邦などは、増産計画さえ表明している。さらにイランも、何百万バレルもの増産を計画中だ。
世界の原油市場の今後の動向について、ロシア連邦エネルギー発展基金のセルゲイ・ピキン総裁に話を聞いた―
2000年代、原油は1バレル30ドルが、大変良い値段とされた。今も、我々が1バレル37から38ドルだと言う場合、それは最もひどい価格というわけではない。しかしここで思い出して頂きたいのは、1年前、1バレル60ドルが大変ひどい価格だと言われていた事だ。来年原油価格は、30ドルから40ドルの間と、かなり手堅い値動きとなり、来年末までには、揺れ幅は1バレル40ドルから50ドルとなるだろう。
さて日本では、原油価格の低下は、全体として、景気に良い影響を及ぼしている。例えば、ここ20カ月間で初めて、卸売物価指数が下がったし、ガソリン価格も安くなった。日本の専門家らは、来年2016年は、電気料金や輸送コストが下がり、燃油サーチャージ(燃料とする油、灯油、軽油、重油などの価格に追随する、運賃とは別建てで徴収される料金)も低くなる可能性が高いと見ている。専門家によれば、こうしたすべての事は、消費税率が5%から8%に上がった結果、今年4月に始まった食料品価格の高騰を「緩和する」に違いないとの事だ。
その一方で日本は、輸出に依存する貿易立国として、原油価格低迷に関連し産油国で、日本製品への需要が減るのではないかと懸念している。また特に日本の経済界は、日本の主要な輸出入相手国の一つである中国の状況を心配している。外需の鈍化は、中国自体にとっても危険だ。なぜなら、このファクターは、アジア第二の経済大国日本を不景気へと押しやってしまうからである。