「中国とアラブ諸国間の協力は前向きな傾向を持っている。中国の活動がこの地域の地政学的分裂になんらかの影響を持つものではないとは、私は思い切った断定はできない。だが中国は政治的な目的のみを追求しているという主張は現実には即していない。習国家主席は、『一帯一路』のコンセプトは一方的な利益を追求したものではないと語っている。中国は陸上、海上のシルクロードを構築する過程で自国のために共同投資の原則で協力する方法を選んだ。これは全ての方面に対して利益を引き出し、彼らの将来の経済発展を速めることができる。」
中国国家主席の中東訪問は「アラブの春」、シリアでの戦争以来、中国の最高指導部が同地域で行う初の訪問となった。現代東共通問題調査センターの専門家、マリヤ・パホモヴァ氏は、西側が中東地域に干渉を行ない、勢力を偏らせようとしているのに対し、習国家主席は対話と発展の政策で対抗しているとし、次のように語っている。
「発展のコンセプト自体、軍事介入のコンセプトとは、またそもそも内政干渉とは対立するものだ。中国は発展を刷新、インフラ、科学、技術の発展と捉えている。同時に発展は各国がそれぞれ独自の方法で行なうものと理解されている。中国は、それぞれの国が自らの可能性、文明的価値に適合する形で発展する権利を持つと捉えている。おそらくアラブ中国発展の合同委員会の創設にはこうした中国の立場が表されていると思う。」
「中国はイスラム世界における自国の権威を理解しているだけではない。中東でまた中国で、特に新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒の思考を左右し、影響力を及ぼすための一定の新たなハンドルも獲得している。習国家主席は中国領内で『ダーイシュ(IS,イスラム国)』の活動の拡散を許さず、新疆ウイグル自治区の安定を強化するために確固とした歩みを進めた。習氏はイスラム協力機構の事務局長とも会談し、文明間、宗教間の対話問題を話し合っている。」
5日間に及ぶ中東歴訪で行なわれた習国家主席の演説から判断すると、中国はこの地域で腹心を探してはおらず、平和と対話に寄与するつもりらしい。習国家主席は影響の及ぶ範囲を作ろうはしておらず、パートナー間に互恵関係を形成しようとしている。その習氏との会談相手の反応から察するに、中国の立場はアラブ世界に理解されたようだ。