完全な濡れ衣、証拠ぬきでロシアのパラリンピック全代表団が出場禁止

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ロシアのパラリンピック代表団 - Sputnik 日本
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国際パラリンピック委員会は世界反ドーピング機関(WADA)のリチャード・マクラーレン氏率いるドーピング調査チームの提出したレポートに基づき、 リオデジャネイロ・パラリンピックへのロシア代表団全員の出場を禁じた。レポートには2012年から2015年の期間、ロシアのパラリンピック参加選手の35の陽性検体が紛失されていたと記載されている。ところがマクラーレン氏のレポートは発表当初からすでに再三にわたって批判されてきた。国際オリンピック委員会(IOC)はマクラーレン・レポートの詳細およびあらゆる事実証拠に批判的な態度をとったが、国際パラリンピック委員会の方は頭からこれを信じ切ってしまった。

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これを受けてロシア・パラリンピック委員会のウラジーミル・ルキーン委員長は声明を表し、ロシア・パラリンピック委員会はこの決定に反駁すると宣言。なぜならマクラーレン・レポートの列挙したロシア人選手は今回のリオ・パラリンピック参加ロシア代表団とは一切関係なく、そのうち誰一人として代表団には入っていないからだ。ルキーン委員長発議は次のように語っている。

「選手の圧倒的多数は完全にクリーンなスポーツマンであり、その検体は様々な状況で外国人専門家によって何度も調べられてきている。こうした外国人専門家のなかには今回のWADAもドーピング・スキャンダルでシリアスな役割を演じている英国の機関も入っている。

パラリンピック委員会は具体的に何をもって(ロシアの選手は)クロだと非難しているのか? クロといわれるものは実は何もない! 我々に言われているのはあなた方の国では国家をあげてドーピング違反を支援するシステムがあるという話だが、マクラーレン・レポートにはパラリンピック委員会の名すら出てこない。なのに今度はこちらが、おたくの委員会は管理が甘いと非難を受けている。

ドーピングの結果の審査を行なっているのは国際パラリンピック委員会のほうだ。規則に遵守していないとして今、我々を非難している大本ではないか。ラボの作業の責任はWADAが全部負っている。

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これに対してはっきり言って、私たちロシア・パラリンピック委員会ほど入念かつ集中的に反ドーピングプログラムを行なってきた団体はひとつもない。我々は法に基づく全てを120%遂行したし、またそれを証明する覚悟だ。なぜならこうした出来事全てが起きた寸前までは何ヶ月、何年にもわたってロシア・パラリンピック委員会は国際パラリンピック委員会からは褒め言葉以外、一切、いいがかりは受けてこなかったからだ。

それどころか国際パラリンピック委員会のフィリップ・クレイヴェン会長はソチ・パラリンピックを競技史上最高のものだったと評価し、自ら私に素晴らしい業績を讃えた勲章を手渡していた。それがこんな180度違う態度とは。このことから否応なしに、こうした事のすべてに動機がからんでいるのではという疑惑がわく。この動機は全くスポーツとは無縁のものだろう。」

ルキーン氏は、こうした状況では文明人は資格に基づいた仲裁裁判機関で法に順じた司法的判断を求めるとして、さらに次のように語っている。

「我々は感情に流されたくはない。作業を続けていく。ロシア・パラリンピック代表団はリオを目指して準備を続けて行く。それに起きた事が客観的に評価されるのであれば、このプロセスは政治的な不可解な実体に様変わりしてしまうことはないだろうと思う。

また一番大事なのは罪もないスポーツ選手たちがリオのオリンピック出場という合法的な人権を実現することだ。そうでなければこれは人権があまりに無残に侵されることになるだろう。そうでなければ状況はロシア・オリンピック代表団には合理的な判断が下され、障害者には全く逆の判断が下されるという状況になってしまう。ということは障害者はさらに厳しく罰せねばならないということだ。これは全く不自然な話ではないか。

このため我々は文明的なやり方で仲裁裁判所に不服を申し立てて控訴し、自分たちの考えを主張してゆく。そして最終的には我々の考えには耳を傾けられると思う。悪い者たちは罰せられ、罪を犯さないものは罰を受けないだろう。それに誰も二重の、また三重の罰は受けない。 無罪の推定は自明の理であり、全ヨーロッパの法律および国際法の基盤だ。これを侵すことは誰にも許されない。このため我々は自分らの無実を証明できると思う。」

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ロシア・パラリンピック委員会は現時点では反ドーピング規則への完全遵守を保障できないとして非難され、その結果、国際パラリンピック委員会のメンバーとしての特典を失うということについて、ルキーン委員長は次のように語っている。

「ロシアが国家をあげてドーピングを支援するシステムを有していることをロシア・パラリンピック委員会が認めるか否か、我々はこの問いに答えることを拒否したとして非難されている。だがこの問いに答えるためには、我々は、自分たち自身がいけにえにされているこの調査の結果を手にしていなければならない。我々はこれに参加しているわけではない。我々は警察を持っているわけではない。どんな人でも知っているが、いかなる調査も最後は必ず審判が下り、最終的な決定が下される。ところが今回は全てが逆ではないか。最初になされたのは何か? 最初から270人の何の違反も行なっていないクリーンな選手らが罰せられたではないか。選手らの運命はへし折られたのに、最終的には真実は後にならないと出ないという。これはとんでもない話ではないか。私は完全にショックを受けている。」

未だに発表されているのはおそらくドーピング問題が存在するのではないかという仮定のみであり、調査は続けられている状態だ。しかもマクラーレン氏自身、レポート作成は最後まで完了しておらず、未だに調査を続けていると語っている。このためルキーン委員長は、ロシア・パラリンピック委員会が休みなく受け取っている文書では、マクラーレン・レポートの数値が8月6日、7日も含めて毎日ころころと変わっていると力説している。となると当然のことながら、次のような疑問がわく。一体何を根拠にロシア・パラリンピック代表団に対し、これだけ厳格かつ不服申し立ても許さない判断が下されたのだろうか?

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