日本銀行 経済成長のためのツールを「組み立てなおす」

© AP Photo / Shizuo Kambayashi, File日本銀行
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安倍首相の経済ブレーンとして知られる元日銀審議委員の中原伸之氏は、マネーの量から金利に操作目標を変更した日本銀行の新たな金融政策を誤りだと指摘した。つまり、日本銀行が行っている金融政策の方向性に変更を加えるべきだと訴えている。

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日銀指導部は、自分達の政策を広範に判断し、主な目的指標の一つとして、マネタリーベースの道標を放棄する決定を下した。その代わり銀行は、現在のゼロレベルで収益性を維持しながら、10年ものの国債を購入する意向だ。その際、短期金利が調整され、預金金利のほうは年率マイナス0.1%にとどまる。日銀は、量的緩和はすでにそれほど重要なツールではないとみなし、自分達の政策の新たな骨組みは「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」であるとした。日銀の黒田総裁は、こうした決定をコメントし「日本国債の購入量について言えば、債券購入プログラムの目標量に関して、年80兆円レベルで増やしたり減らしたりすることができる」と述べた。

2013年初めに黒田氏が日銀総裁に任命されたあと始められた刺激策は、「アベノミクス」の最も注目すべき側面だった。よく知られているように安倍首相が掲げた「三本の矢」は、積極的な金融政策、財政刺激策と構造改革を内に含むものだった。そして現在、批判の矢は、黒田総裁のもとに飛んで行っている。中原氏の意見によれば、日銀の新しい決定は「アベノミクス」支援策の終わりを意味している。

中原氏は次のように述べた-「彼らは、政策の焦点を量的緩和から金利に変更した。これは、量的緩和を支持した人々の敗北を意味する。経済支援を支持していた日銀審議委員の人達は負けたのだ。日銀内でリフレ派が敗れたということだ。デフレからの脱却の可能性は、ひどく遠のいてしまった」。

実際、日銀審議委員のすべてのメンバーが皆、新しい決定を指示したわけではない。大部分のメンバーは、今日銀は、経済的諸条件に従って、もっと柔軟にその政策を変えることができるだろうとみなしていた。新しいインストルメントの導入は、金融市場の機能を著しく弱めると考えている人達もいる。一方黒田総裁自身は、インフレ・ターゲット達成のために、以前予想されていたより多くの時間が必要であることを認めながらも、今後も金融刺激策の潜在的可能性は維持されていると確信している。

日本は「アベノミクス」を放棄するべきだ―IMF - Sputnik 日本
日本は「アベノミクス」を放棄するべきだ―IMF
国際通貨基金(IMF)は、日本銀行の金融政策が新しい原則に移ったことを歓迎した。しかしIMFも、日本銀行が近く、2%というインフレの目標指数を達成できるとは思っていない。多くの経済学者もそう考えている。

スプートニク記者は、金融アナリスト機関「アルィパリ」のアンナ・ボドロワさんに意見を聞いてみた-

「どのようにするのが正しいのかなど、誰にも分らない。量的緩和プログラムに取り掛かった時、日銀は、すべて間違ったことをしている、プログラムは始動していないと責められた。しかし結局、それは動き出し、日本のインフレは肯定的な数値に上がった。消費者物価指数加速のプロセスは困難だったが、それも進んでいる。当時、日銀はインフレ活性化プログラムにすべての力を投入した。現在このプログラムが作り直されていることは、正常なことである。試す必要がある。何にでも万能な方法などないのだ。日本経済は大きなポテンシャルを持っており、長期にわたる停滞から経済を抜け出させ、その潜在力を起動させる必要がある。ここ数年、日銀は、そのためのメカニズムを探り出そうと努めてきた。もし結果が出なければ、そうした措置は縮小され、再び保守的なメカニズムが用いられるだろう。しかし新機軸がうまく行き、動き出すこともあり得る。そんなことがないなどと、なぜ言えるだろうか?」

日銀の決定に対する中原氏の批判は、何もこれが初めてではない。今年1月に、日銀が民間銀行に対しマイナス金利を導入した時も、中原氏は、これを真珠湾攻撃に例えて批判している。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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