双方に相手の意見を聞く用意があるのなら、対話には意味がある

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この1週間の露日交流を締めくくる形で、第13回露日戦略対話が行われた。これは、4月の安倍首相のロシア訪問に向けた準備というコンテキストの中で、特別重要なものだった。交渉は、露日外務省の次官級レベルで行われた。日本側代表は、杉山晋輔(しんすけ)外務事務次官、ロシア側は、ウラジーミル・チトフ第一外務次官だった。

日本政府はロシアとの平和条約締結のために全力を尽くす-岸田外相 - Sputnik 日本
日本政府はロシアとの平和条約締結のために全力を尽くす-岸田外相
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ロシア外務省のサイトは、この会合について簡潔に次のように伝えている-「双方は、グローバルな及び地域の諸問題に関し、詳細な意見交換を行った。また会合では、一連のアクチュアルな二国間及び国際問題が討議されたほか、政治対話や貿易経済協力、議会間コンタクト及び文化・人道分野での交流のさらなる発展の見通しについて検討がなされた。」

またロシア側代表を務めたチトフ第一外務次官は、交渉結果を次のようにまとめている-「もし我々が、二国間協力のあらゆるメカニズムを始動させるなら、しばらく時が過ぎれば、我々は露日関係を、より良い未来に向けた希望のシンボルである桜の花と比べることができるだろう。特に重要なことは、今回のラウンドが、4月末の安倍首相のロシア訪問を準備する中で行われたことだ。」

一方ラヴロフ外相は、ロシアの人気週刊新聞「アルグメントゥイ・イ・ファクトゥイ(論拠と事実)」のインタビューに応じた際「日本は、第2次世界大戦の結果を一義的に認めるべきだ。それが、露日間の平和条約締結のための主要な条件である」と述べた。

この発言について、スプートニク記者は、ロシアを代表する日本研究家の一人、モスクワ国際関係大学のドミトリイ・ストレリツォフ教授に意見を聞いた。教授は「ラヴロフ外相が、こうしたトーンで、このように述べたのは今回が最初ではない。その事について日本側も、よく理解している」と指摘し、次のように続けた-

このように述べることで、ラヴロフ外相が、日本の立場に何か変化が起こると期待しているという見方に、私はひどく懐疑的だ。このレトリックは、もっとデモンストレーション的な性格を持ったもので、平和条約交渉にとって必要不可欠な雰囲気を作るものである。大分以前から明らかなように日本は、ロシア同様、自分達の原則的立場を変えないだろう。それゆえ交渉は、もう私が以前から言っているように、そこで交わされるセリフや演じる主人公が、もうずっと前から分かっている芝居の場面をますます思わせるものとなっている。」

もしそうであるなら、今後の交渉にはいったいどういった意味があるのだろうか? スプートニク記者は、さらにストレリツォフ教授にそうした質問をぶつけてみた。教授は、次のように答えてくれた-

「現時点における目的は、直ちに具体的な成果を成し遂げることではなく、日本のそうした立場によって、双方が歩みよりができないのだと示すことにある。いずれにしても、それを期待する事は難しい。この事は、日本国内でも、ロシア同様、愛国主義が政権党の政治的基盤の一つになっている事と関係している。政権党は、複雑で困難な問題解決を、そうした基盤に期待している。それゆえ、日本の首相あるいは外相が『北方領土』問題に関する自分達の原則的立場を変えると突如言い出すなどと想像するのは難しい。なぜならそうした基礎的立場は、国家的アイデンティティの一部だからだ。つまり、この問題における急速な前進そして変化を期待するのは難しいという事だ。」とはいえ、とにかく、双方が、最高レベルでのものも含めて対話を行うという事実それ自体は、露日関係にとってプラスになっている。どのような一歩であれ、お互いに歩み寄ることは、黙りこくっていたり、あるいは対立しあったりするよりはましである。それゆえ安倍首相の4月末のロシア訪問が、両国の立場をより近づける、さらなる一歩になるよう期待したい。

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