金正恩氏に狙われているオリンピック

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朝鮮半島情勢が緊迫を増す中、韓国は2018年に開催予定の平昌冬季五輪について、世間を安心させ、落ち着かせるための声明を表しているが、平昌五輪開催の確率は低くなる一方だ。北朝鮮はミサイル・核実験を放棄しようとはせず、米国は北朝鮮に対する予防攻撃を準備している。対話のために残された時間は非常に少なく、紛争がいつ始まってもおかしくない状況だ。韓国当局によると、来年平昌で開催予定の第23回冬季五輪には、世界中から約5万人が訪れる見込み。第三次世界大戦とまではいかなくとも、平昌五輪が過度な行為なしに開催されると誰が保障できるだろうか?

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ミサイル均衡 - Sputnik 日本
ミサイル均衡
スプートニク通信は、韓国の国防省、内務・安全保障問題担当省、また平昌のある江原道政府にオリンピック開催について質問したが、回答は得られず、2018オリンピック委員会に問い合わせるよう助言を受けた。オリンピック委員会は「韓国政府と共に現在の地政学的状況」を見守りつつ、主に「2018年のオリンピックならびにパラリンピックの準備と、その成功裏の開催に向けて」力を尽くすと主張している。

だが、このような返答に国際社会が納得できないのは明らかだ。彼らが何よりも危惧しているのは、安全保障問題とされているからだ。オリンピック開幕まで残すところ5カ月となった時点で売れたチケットがわずか22%であるのも偶然ではない。ある意味で冬季五輪のワースト記録がつくられた。

狙われているオリンピック

オリンピック開催地から北との国境まではわずか100キロ。さらに北朝鮮の大規模な港がある元山までも100キロ。最近、北朝鮮は元山付近から中距離ミサイル「火星10号」や、すでに証明済みの「火星5号」、「火星6号」を発射している。

これらのミサイルの射程は300キロ以上であるため、深刻な紛争が起こった場合には平昌、そしてオリンピックの競技会場のみならず韓国空軍の大規模な基地もある江陵も、北朝鮮のミサイルを浴びる恐れがある。

位置について(Ready)、

五輪は、毎年春に行われている米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」が始まる前に閉幕しなければならいということが、平昌五輪開催に関する国際オリンピック委員会(IOC)の決定に影響した可能性がある。これらの演習の最中には、通常、北朝鮮との緊張が高まる。さらに、国際社会にとって「まだ理解できた」金正日総書記時代の2011年7月に、北朝鮮は比較的威力の弱い核実験を2回実施しただけで、本物の弾道ミサイルの特性に近いものを彷彿させたとはいえ、ミサイルの発射には1度も成功していない。だが今年2017年、状況は大きく変わり、今や春の演習とは関係なく、北朝鮮問題で神経をすり減らす根拠は十分となる。

用意(Steady)、

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11月にも北朝鮮がその決意を示すよい機会が訪れる。11月には韓国の軍事演習「ホグク(護国)」が行われる。同演習にはしばしば米軍も参加している。2010年には、まさに同演習の最中に韓国の延坪島周辺の海域で(なお北朝鮮は同海域を自国の領海と主張している)砲撃事件が起き、北朝鮮の砲撃により軍人2人と民間人2人が死亡している。さらに2018年1月8日は、金正恩氏の誕生日だ。この日はまだ正式な祝日として制定されていないが、実際にはこの日に合わせて所謂様々な「画期的なイベント」が行われている。2016年1月6日には4回目の核実験が実施され、低威力の水爆実験が行われた。当時は大勢の専門家が水爆実験であったことを疑い、恐らく威力を高めた核爆弾だと考えた。だが最新情報によると、今年9月3日に実施された実験の爆発規模は約250キロトンだったと推定され、金正恩氏の発言がでたらめではないことを示した。

ドン(Go)!

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その上、北朝鮮にはさらに別の重要な記念日がある。それはオリンピック開催時期と重なる2月16日の金正日総書記の生誕記念日である「光明星節」だ。北朝鮮は近年この重要な日を迎えるに先立ち、核実験のみならず人工衛星も打ち上げている。なお最新のモバイルミサイルシステムの実験が行われたが、米国の情報機関も韓国の情報機関もそれを適時に発見することはできなかった。

明かな脅威があるにもかかわらず、IOCは平昌五輪に関する「プランB」の議論を懸命に回避している。だが北朝鮮がこれほど急速に自国のミサイル・核開発を進めるならば、2018年冬季五輪の開催までに朝鮮半島の危機が、オリンピックが実際に中止あるいは延期されるほどのレベルにまで拡大する恐れがある。

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