米朝首脳会談中止の理由は?

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米朝首脳会談は常に不安定な宙吊り状態にあったが、会談中止を発表したタイミングそのものが驚きだった。スプートニクのインタビューに対して、ロシア科学アカデミー経済研究所ロシアアジア戦略センターの所長で国立BRICs研究委員会の執行役員であるゲオルギー・トロラヤ氏と、吉林大学東北アジア研究院の巴殿君・所長が会談中止の前提と原因について語った。

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トランプ米大統領が会談を中止したのは「熟慮されない突発的な反応」だとしてトロラヤ氏は次のように述べた。

「米国の内政要因が働いた可能性もある。譲歩しないようトランプ氏に圧力がかかり、そのため彼は金正恩氏が悪意ある発言を行ったと非難した。実際には正恩氏からの敵対的な発言は一切ないのだが。」

シンガポールでの会談の準備をすすめるはずだった米国側のメンバーが発表されたあと、トロラヤ氏は会談実施の可能性を10%だと見積もっていた。巴氏はまた、トランプ氏のチームが会談中止の一因だと述べた。

「双方は非常に短時間で両者を満足させる合意にこぎつけることを期待していたが、これは難しい。会談実施のために急いで作られた代表団が完全に『タカ派』からなっていた米政権にとってはとりわけそうだ。この代表団は米国に存在する政治の方向性を全く1つにせず、会談への関心を示さなかったため、代表団には非常に多くの議論の余地があった。さらに、近ごろではトランプ氏が金正恩氏との会談中止を検討しているとの情報が漏れていた。彼は、北朝鮮による核実験場の施設爆破を待ち、そのあとに決定を発表した。」 

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決定発表には「かなり意外な」タイミングが選ばれたとトロラヤ氏は述べる。これは、北朝鮮が海外からの記者団を引き入れて豊渓里(プンゲリ)の核実験場を盛大に閉鎖した日だった。つまり、みなが北朝鮮に核・ミサイル実験の凍結を呼びかけていた1年前に楽観主義者が期待できた状態より一歩進んだことが行われたのだ。しかも北朝鮮は核実験を単に凍結したのではなく、実質的に完全な中止を発表した。つまり事実上、核実験禁止条約に加盟したのだ。なお、米国は今に至るまでこの条約に加盟しておらず、するつもりもない。

同日、韓国の文在寅大統領は米国に訪問中だった。トランプ氏の発表は「同盟国への平手打ち」であり、米国は韓国の国益を考慮していないことを示した。なぜなら、文大統領こそが多くの点でこの会談の開催を促進してきたのだから。

巴氏は一方、双方は予定されていた会談の妨げとなった障害を乗り越える必要があるとして、その障害について分析した。

「核兵器放棄の問題で北朝鮮と米国のアプローチを合わせることは非常に難しい。北朝鮮にとって重要なことは、段階的で均衡であることだ。米国は一方、北朝鮮に不可逆的で完全な放棄を求めている。トランプ氏の正恩氏に対する冒険的な行為が原因で、双方の深刻な政治的不信感が最近形成された。彼らの相互的な戦略的かつ外交的な動きは政治的不信感から、お互いにダメージを与える戦略形成に進化した。この政治への不信感は新たな危機の拡大につながりかねない。」

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