日露合作「ソローキンの見た桜」モスクワの日本映画祭で紹介:来場者から「歴史に残る映画」との声

© 写真 : ソローキンの見た桜製作委員会2019ソローキンの見た桜
ソローキンの見た桜 - Sputnik 日本
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20日、モスクワ市内で第52回日本映画祭のオープニングセレモニーが行なわれ、今春日本で公開予定の日露合作映画「ソローキンの見た桜」(井上雅貴監督)が紹介された。この映画は、日露戦争時における愛媛県松山の捕虜収容所を舞台にした、ロシア人少尉と日本人女性との愛の物語で、「日露戦争時代のロミオとジュリエット」と副題がつけられている。会場は大入り満員で、階段まで隙間なく人で埋まり、モスクワにおける日本映画に対する関心の高さをうかがわせた。

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「ソローキンの見た桜」はラジオドラマを実写化したもので、今年5月に在日本ロシア大使館で製作発表会が行なわれた。ヒロインの阿部純子さんは、駆け出しのテレビディレクター・桜子と、日露戦争の時代を生きた看護師・ゆいの1人2役を演じた。捕虜収容所の所長役でイッセー尾形さん、捕虜になった大佐役でロシア演劇界の大御所アレクサンドル・ドモガロフさんなどが出演している。

本作品のプロデューサー、平成プロジェクトの益田祐美子社長は映画祭の舞台で挨拶し、「この映画は今、産みの苦しみの途中。小さく作って大きく育てたいので、皆さんの協力をお願いしたい」と、本編公開に向けて最終準備を進めていることを報告した。

映画紹介の後にはトークセッションが行なわれ、井上監督の妻でプロデューサーの井上イリーナさん、ソローキン役のロデオン・ガリュチェンコさん、ヒロインの友人・竹場ナカ役の海老瀬はなさんなどが参加した。来場者からは「日本人監督のもとで演技するのは大変だったか」「松山のロシア兵の墓は本物か」など、様々な質問が飛んだ。

© 写真 : Asuka Tokuyamaプロデューサー、出演者とのトークセッション
プロデューサー、出演者とのトークセッション - Sputnik 日本
プロデューサー、出演者とのトークセッション

ガリュチェンコさんは「私にとってすばらしい国際的な体験でした。外国人の監督のもとで外国人の俳優と共演し、いくつかのシーンは英語で演じるというのは初めてでした。相手役の阿部純子さんに大変感謝しています。スクリーンの中で彼女が看護師の制服を着て演じているのを見たとき、撮影の思い出が蘇り胸がさわぎました」と話した。

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六本木にスター集結 第31回東京国際映画祭が開催中
日本語、ロシア語、英語が飛び交う撮影現場となったが、コミュニケーションの困難さはほとんどなく、映画人として意見を出し合い、協力しながら作品を作り上げてきた。ロシア人俳優たちは撮影の合間に道後温泉を堪能したり、山に登って松山の景色を楽しんだ。

海老瀬はなさんは、時間に追われるなどして必死な空気がただよっている日本映画の通常の撮影現場と違って、「ソローキンの見た桜」では、「ロシアの俳優さんたちは現場でもニコニコして『楽しもう』という空気があったので、そこが違いだと思います」と話した。

来場者からはロシア公開を心待ちにする声が聞かれた。ロシア人にとって日露合作映画といえばすぐ思い浮かぶのが、1974年公開「モスクワわが愛」だ。これもロシア人青年とバレリーナの日本人女性と愛の物語だったので、かつての名作と「ソローキンの見た桜」を重ね合わせる人も多かった。

日本文化が大好きだという女性は「透明感のあるピュアな物語で、最近の商業映画らしくないと思いました。日露の歴史に残る映画だと思います」と話し、知人のすすめで来場した男性三人組は「ロシアではこういう、登場人物の感情がどんどん伝わってくる映画はあまりないと思います。戦争の最中のストーリーにも関わらず、幸せとか楽しみの感情が豊かに表現されていることに驚きました」と感想を述べてくれた。

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モスクワ在住の日本人女性は「日本人でも知らない史実を知ることができました。俳優さんたちがそれぞれにとても魅力的で胸がいっぱい」と感激した様子で話していた。

「ソローキンの見た桜」は来年3月16日に愛媛県で先行公開。22日から全国公開される。

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