スプートニク日本
航空会社職員のアルコール乱用問題の規模はどの程度なのか、原因のひとつにパイロットの酒酔いが挙げられる航空事故でどのような調査が行われたのか、スプートニクが解明を試みた。
パイロットのアルコール摂取が発覚した日本の航空会社、日本航空(JAL)と全日空(ANA)では、現在、極めて厳しいチェックと詳細な調査が進められている。日本航空は2017年8月以降、19人のパイロットを一時的に乗務から外さざるを得なかった。企業幹部は、どうしてこのようなことが起こり得たのか、究明を試みている。
アメリカ連邦航空局(FAA)は、乗務員の飲酒対策は、航空機の管理と同様に重要だと考えている。
アメリカには「Eight hours from bottle to throttle」という鉄則があるにも関わらず、2002年には、アメリカウエスト航空A-319の乗組員がフライト直前になって乗務を認められなかった。この事件は他のパイロットにとっての良い教訓になるべきものに思われた。しかし、USA Today紙によると、アメリカでは2006年から2016年までの10年間に、年平均11人のパイロットが依然として酒酔い状態での飛行を試みていたという。
2009年のお正月前には、アムステルダムのスキポール空港でノルウェーのパイロットが飲酒を理由に乗務を認められなかった。このパイロットはすでにロンドン-アムステルダムを飛行していたが、幸いにも、無事に航空機を着陸させていた。
ロシアでは、人的要因とアルコールが犠牲者を伴う大惨事に繋がった。2008年、ロシアのアエロフロート・ノルド航空のボーイング737がペルミ市に着陸する際に墜落したのである(88人、うち乗組員6人が死亡)。法医学委員会は死亡したパイロットの血液から「しらふ」の限界を超える量のエチルアルコールを検出した。
しかし、どうして酒酔いが惨事に繋がるケースもあれば、事故を回避することができるケースもあるのだろうか?ジャーナリストのシモン・カルダー氏はIndependent紙の記事「アルコールとパイロットに関する全ての真実:リスクとルール」の中で、どのくらいの頻度でアルコールが事故につながるのか、と自問している。
パイロットと一緒に他の乗務員もアルコールを摂取していた場合、状況は更に不安なものとなる。例えば、ラトビアのエア・バルティック航空は2015年、オスロからクリト島へのフライトで、アルコール検査に合格しなかった2人のパイロットと2人のスチュワーデスを一度に乗務禁止にした。
この呆れたケースを見ると、フライト前の私たちの心には恐怖が生まれる。しかし、自動車に比べると(2017年、ロシア国内だけでも19000人が死亡している)、飛行機は最も安全な移動手段のひとつだと考えられている。「飛行の安全エージェンシー」によると、航空事故で死亡する確率は800万に1だという。
21世紀に入って以降、昨年2017年が死亡者が44人と最も少なく、民間航空史上もっとも安全な年となった。これはすなわち、世界の航空会社のパイロットは厳しい職業倫理を遵守するハイレベルなスペシャリストであることを示している。