ロシアは世界銀行の原油価格見通しを信じない?

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世界銀行は、次の3年間のブレント原油の平均価格を1バレル=71ドル(約8千円)とする見通しを発表した。その根拠に、原油市場を過熱させる要因が全て無くなり、価格が安定するとの見方を挙げた。一方、ロシアの経済発展計画では1バレル=50〜55ドル(約5700〜6千円)だと予測している。見通しの差は何に由来しているのか?

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今年の原油価格は1バレル=59ドル(約6669円)から86ドル(9721円)を上下した。だが世界銀行の予測によると、来年の原油市場はより安定し、価格のバランスが取れる。では、ロシアの専門家がこれに比べると非常に低い数値、つまり1バレル=50〜55ドルとの見通しを出した理由とは?

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理由は明らかだ。2014〜16年の歴史を繰り返したい大臣などいない、ということだ。当時、エネルギー資源輸出の割合が何より高いロシア経済で原油相場が106ドルから32ドルに暴落。資源輸出への依存度を下げる方策を考えざるを得なかった。

これはつまり、原油価格については慎重な予測に立脚した方が得策だということだ。石油危機が再び起きれば、世界銀行の専門家はせいぜい理解できずお手上げ、というだけで済む。だがロシアはまたもや危機を乗り越えるための計画を急遽策定することになる。

だがこれは、ロシア政府が長期的な計画で原油輸出による収入を捨て置いたわけでは全くない。原油輸出による一定以上の収入を国民福祉基金(準備基金)に積立てるという予算の原則は未だに有効だ。

原油価格が、ロシア政府の出す1バレル=50〜55ドルを長期的に下回る可能性は極めて低い。世界銀行が正しく、ロシアの原油輸出量が現行の水準(年間3520万バレルほど)を維持すれば、ロシアの「エアバッグ」は33億ドル(約3722億円)増える。

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ロシア政府か世界銀行、どちらの見通しが正確かは時が示す。だが、シナリオには政治的な要因から全く政治とは無関係のものまで、膨大な数の要因が影響することを忘れるべきではない。

最大規模の要因が、ウィーンで6日開かれた、来年の原油生産量を決める石油輸出国機構(OPEC)の総会。そして7日に開かれる非加盟諸国を交えたOPECプラスの総会だ。サウジアラビアは、10月の最大量を根拠に、全加盟国による3〜3.5%の減産を提案する。

アナリストは、この要望が同意を得られなければ、原油価格は最低1バレル=55ドルにまで下がりかねないと指摘する。7日の総会で減産合意に至れば、年内に1バレル=65ドルかそれ以上に急上昇する可能性もある。

中期的な視点で見れば、今日の低価格では新たな油田の調査の採算が取れない。そして2020年代中頃、世界経済は深刻な原油不足に直面する可能性がある。そうなれば原油価格は急上昇する。こうした見方は例えば、ゴールドマン・サックスのアナリストが示している。

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