それぞれの研究では、MRI、fMRI、あるいは単一光子放射断層撮影などの脳を可視化するための技術が用いられた。fMRIは脳を対象とした磁気共鳴画像法(MRI)。単一光子放射断層撮影は、例えば、腫瘍を検出するために臓器の3D画像を作成することができる。
研究の被験者らは、体の動き、瞑想および呼吸法を含むハタ・ヨーガを行った。
ヨガは脳のどの部位によい効果をもたらすのか?
米イリノイ大学のプレスリリースは「11件の研究すべてで運動をした場合と同じ脳の領域が発達していることが分かった。例えば、海馬の容量の増加がみられる」と同研究を主導したネハ・ゴータ助教授の言葉を引用して報じている。
ヨガを定期的に行っている人は、前頭前皮質、帯状回と扁桃体が他の人たちよりも発達している。扁桃体とは、情動反応の調節を司る部位であり、神経回路「デフォルトモードネットワーク」でもある。
研究チームのジェシカ・デムワゾー助教授(米ウェイン大学)は上記に挙げた部位とネットワークに関して以下のように説明した-
「前頭前皮質は額のすぐ後ろにある脳の領域で、計画、意思決定、マルチタスクの管理、評価、選択に関与している。デフォルトモードネットワークは、自分自身について考えること、計画、記憶に関連する複数の脳領域。さらに帯状回は、扁桃腺と同様に大脳辺縁系の一部。大脳辺縁系は、情動の調整、学習、記憶に重要な役割を果たしている複数の構造物の総称だ。」
研究チームは、なぜヨガが有酸素運動と同じように脳に作用するのかをまだ明らかにしていない。研究チームは、ヨガのレッスンの基本である感情調節メカニズムが、ポジティブな作用の鍵だと考えている。
ゴータ助教授は「ヨガの実践は感情の調節を改善し、ストレス、不安、うつを軽減するのに役立つ。これが脳の働きを改善しているように思われる」と述べている。