ハビブは育った場所に恵まれた:ダゲスタンの名を世界的にした武術

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ロシア連邦を構成する共和国の一つ、ダゲスタンの名称は「山の国」を意味する。ダゲスタンは北カフカスの南東部に位置し、カスピ海に面している。共和国の面積は5万300㎡で人口は308万6千人。その民族構成はアバール人(27.9%)、ダルギン人(16.1%)、クミク人(12.9%)、レズギン人(12.2%)、ロシア人(7.3%)、ラク人(5%)と続く。共和国には合わせて102の民族が暮らしているが、これらの諸民族を束ねるものこそ武術への愛なのだ。

1921年1月、ダゲスタンはソ連を構成する共和国の一つとなった。そしてスポーツはダゲスタンで遥か昔から親しまれてきたが、まさにこの時期から共和国内でスポーツは広く普及し、その中でもコンバットスポーツが群を抜いて着目されるようになった。共和国ではレスリングやボクシング、柔道に加え、中国の武術(ウーシュー)に取り組むようになった。その中で最も主要なコンバットスポーツとなったのがフリースタイルレスリングだ。

ダゲスタン出身の格闘家が国際的舞台で活躍を開始したのは1950年代のこと。

© Sputnik / Kristina Savitskayaダゲスタンの著名な格闘家
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ダゲスタンの著名な格闘家

ダゲスタンの著名な格闘家の歴史を1つの記事で余すところなく扱うことは困難を極める。格闘家らは世界中で数多くの若者に影響を与え、その模範となってきた。彼らが成功した秘訣は何なのか。ダゲスタンではどのようなジムが活動しているのか、格闘技は現地の義務教育で教科に採用されているのか。こうした点についてスプートニクでは総合格闘技(MMA)の世界王者に意見を伺った。インタビューに応じてくれたのは、サンボとユニファイト(ユニバーサル・ファイト)の達人、ガジー・エブエフ選手だ。


© 写真ガジー・エブエフ選手
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ガジー・エブエフ選手

ダゲスタンでコンバットスポーツは人気ですか?

エブエフ氏 : ―ええ。ここ5年でダゲスタンのコンバットスポーツは非常に成長しましたし、MMAへの関心が国際的に高まったこともあり、オリンピックの種目になっている従来のフリースタイルレスリングやグレコローマンスタイルレスリングからMMAにシフトする選手が増えています。そういうことからも、ダゲスタンをリードするスポーツはMMAだと思う。

どうしてダゲスタンではフリースタイルレスリングがこれほど人気なのか、その歴史的背景を教えてください。

エブエフ氏 : 昔からレスリングはとても親しまれてきました。他のスポーツでこれほど著しく成長した種目はありません。ただし、これはダゲスタンに限ったことではなく、北カフカス全体についても同じことが言えます。さらに、ダゲスタンに暮らす民族には、どの民族にも独自のレスリング文化があります。

ダゲスタンでは大昔から、ほとんどすべての村が現地住民を集めて自警団を構成していました。そして自警団ではまさにレスリングを訓練していました。レスリング抜きの祝祭日は1つもありません。大会の優勝者は民族の中で敬意をほしいままにし、村の誇りとなりました。そうした優勝者の中には、ダゲスタン以外でも名を馳せた猛者がいます。最も有名なのがサリ=スレイマン(1879-1966)でしょう。この格闘家は世界中のサーカスに出演し、高い名声を手にしました。

サリ=スレイマン氏
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サリ=スレイマン氏

ダゲスタン領内で親しまれている格闘技にはどのようなものがありますか?

エブエフ氏 : ムエタイ、柔道、サンボ、ボクシング、フリースタイルレスリング、グレコローマンスタイルレスリング、武術太極拳、グラップリング、柔術、MMAでしょう。ダゲスタンではコンバットスポーツに関連するものなら全て親しまれていると確信をもって言えます。

日本の格闘技でいえば、最も人気なのが柔道。ダゲスタンには柔道連盟が後援する道場や支部があります。世界的に有名な選手にマンスール・イサエフ(2012年の五輪金メダリスト)やタギル・ハイブラエフ(2009年欧州選手権、2011年世界選手権、2012年五輪の金メダリスト)がいます。ただし、空手はダゲスタンでそれほど進んでいないように思います。

最も有名なジムの名前を挙げてください。

エブエフ氏 : サドラエフ・ジム、アリ・アリエフ・ジム、ガジ・マハチェフ・ジム、ヂナモ、ウロジャイ、ゴレツ・クラブ、ハビブ・ヌルマゴメドフ・ジムがあります。あとは、ダゲスタン以外でも有名な五大陸ジムがあり、武術太極拳とテコンドーの指導がされています。2002年からは共和国政府の支援制度が始まり、オリンピック選手養成所がオープン、格闘家の養成に力を入れています。ダゲスタンのジムが合宿を開催するようになってから早くも数年が経過し、特殊な設備を備えた高原ツーリストキャンプ場で大規模な訓練を行っています。

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Сборы начались

Публикация от <<Горные Вершины>> (@gornyye_vershiny)

ちなみに、現UFC世界ライト級王者のハビブは若いころから高原で訓練し、走りこんでいました。そういう過酷な環境で肉体と精神を鍛えていたのです。

共和国政府はスポーツに関心のある若手選手を支援していますか。義務教育では体育の時間に格闘技を学びますか。

エブエフ氏 : 将来有望な若手選手が結果を出せるよう、支援するスポンサーはいます。

学校の体育で格闘技をやるか?(笑う)いいえ、学校の体育は普通です。スタンダードな学校プログラムで教育されています。

エブエフ選手によれば、ダゲスタンでは一般的に子供の教育に幼少期から最大限の教育を施す努力をしており、子供が道草を食わないよう、スポーツ教室に通わせることが多いようだ。ただし、女子レスリングに関しては共和国内であまり歓迎されていないとのこと。

エブエフ氏 : 格闘技の勉強を女児にさせる親もいて、例えばフリースタイルレスリングの世界選手権と欧州選手権で金メダルを獲得したザミーラ・ラフマノワや、フリースタイルレスリングのロシア選手権金メダリストのミラナ・ダダシェワ、ボクシングの世界王座に2度も就いたゼンフィーラ・マゴメダリエワのような世界王者もいるが、共和国に暮らす人々の九割近くは支持していない。

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「コンバットスポーツはあくまで男性の競技であって、女性は女性らしくあってほしい」、とエブエフ選手は締めくくった。

ダゲスタンの格闘家が成功する秘訣?

エブエフ氏 : 規律と過酷な訓練――それこそが成功の秘訣。


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