報告では、「世界的な直接投資の流入は2020年に減少し、予想では最大40%に達する」と指摘。これは、2019年に1兆5400億ドル(約165兆円)だった直接投資の規模が、2005年以来はじめて1兆ドル(約107兆円)を割り込むことを意味する。国際連合貿易開発会議によれば、「この他、今後、2021年にはさらに5%から最大10%の下落が見込まれ」ており、また、予想では回復は2022年になる。
同会議の報告は、パンデミックは、「直接投資の分野で需要と供給、政策にとってショックであることを意味している」と解説。また、「世界的な景気後退の見通しが、多国籍企業の独自プロジェクトの見直しを促進させることになる」と断言する。
ラテンアメリカでは直接投資が半分に、また、アジアの途上各国では30%から最大45%、アフリカでは25%から最大40%と予想され、先進国でも同様に25%から最大40%になると見込まれている。
国際連合貿易開発会議のムヒサ・キツゥイ事務局長は、報告の発表に関連し、「世界経済は現在、2008年の金融危機の時よりいっそう深刻な状況にある」と強調。同事務局長は、パンデミックは、「多くの分野で生産とサプライチェーンの停滞、全産業での完全閉鎖、経済全般における先例のない需要の喪失を引き起こした」と指摘した。同時に、同事務局長によれば、国際連合貿易開発会議は、2020年の直接投資の下落を非常に不確実であると予想している。キツゥイ事務局長は、「今後の見通しは、保健分野の危機がどれだけ長引くか、そして、パンデミックによる経済的影響に対する政策の実効性次第といえる」と結論付けた。