韓国と日本から米軍が撤収:ボルトン氏の発言は信用できるか

© AFP 2023 / Toru Yamanaka沖縄、普天間飛行場(アーカイブ)
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ドナルド・トランプ米大統領は軍事費負担増に韓国と日本の政府が応じない場合、在留米軍の縮小または撤収を行う用意がある。米国の元国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏は産経新聞のインタビューに対してこうした警告を行った。

ボルトン氏が役職を離れたのは約1年前。今後ボルトン氏の援助を米国政府は必要としないとトランプ大統領が発表したことがその理由だった。通信社「スプートニク」は、日韓の戦略的利益と安全保障に関するボルトン氏の暴露発言は何に突き動かされた結果なのか、専門家に見解を尋ねた。

​世界経済国際関係研究所、日本経済政治セクター代表のヴィターリー・シュヴィコ氏は、安全保障分野の元責任者であるジョン・ボルトン氏の現在の発言の背景には、トランプ大統領に対する個人的恨みがあるのではないかとみている。

「米大統領は、日韓の領土にある米軍基地を維持する財政的条件ではおそらく駆け引きを行っていますし、こうした調子での駆け引きはこれからも続くでしょう。とはいえ、ボルトン氏が警告するような抜本的な提起がトランプ大統領側から行われるとは、実際は誰も予想していません。

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確かにトランプ大統領の発言には、その表現の仕方や細かい点で突飛なところが見うけられますが、しかし、それでも根本的な問題では大統領はやはり、国内の政治的エリートたちの見解との間で調整を図っています。米国のエリートらは日韓政府との戦略的パートナー関係では一定のコンセンサスを得ています。

在日米軍基地への負担増要求で日本に圧力らしきものをかけていることついては、日本政府はそれを否定しています。そして日本政府にはその権利があります。この問題に関しては、幕裏の交渉では圧力がかけられたかもしれませんが、日本政府としては、米国務省のサイトでは公式な要求は発表されていないことに立脚しており、確たるものはなにもないのです」。

それでもボルトン氏は、負担増の要求計画はもっと深刻に受け止められるべき話だと主張している。

しかもボルトン氏は、トランプならは日本からも韓国からも米軍撤収の大統領令を出しかねないと考えている。韓国との負担増をめぐる交渉は現在、難航している。

この点について、ロシア科学アカデミー極東研究所コリア研究センターのコンスタン・アスモロフ主任研究員は次のように指摘している。

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「2020年度の軍事費負担について、合意のすり合わせ作業はまだ行われています。とはいえ、これは半年前には終了しているはずの合意でした。こういうわけで本年度の財政手続きは現在でも結ばれておらず、そのため支払いも行われていません。米国は、状況を急ぎ進展させるため、米軍基地の韓国人職員に無給休暇を取らせました。その後、韓国政府は、韓国人職員の職場復帰が叶い次第、職員らに支払う手当の財源を確保すると表明しました。それにも関わらず通常の財政合意は、結局、締結されていません。ボルトン氏の発言に関しては、アジア太平洋地域の現状からではなく、米国内の政治争いのコンテキストで読み取るべきだと私は考えています。米国のある勢力はなんとかしてトランプ大統領を、国益に関心を向けず、北朝鮮の攻撃に直面しながらも軍縮を行う構えの役立たずの大統領だと特徴づけたいのです」。

ロシア金融大学政治学部のゲオルグ・ミルゾヤン助教授は、日本と韓国から米軍が撤収する事態は論外だと考えている。

「これらの国々に米軍が存在することは、中国政府に対するもっとも重要な抑止力です。トランプ大統領は、これらの国々で米軍を維持するための支出を減らし、日本と韓国の領土内で米軍基地を堅持する最適な条件を両国政府から勝ち取ろうとしていますが、それはまた別の話で、ボルトン氏はこのことを良く知っていながら、トランプ大統領を陥れようとしているのです」。

日本が米国のミサイル防衛システムの配備を中止したことについて、ミルゾヤン助教授は、日本政府は基本的な財政的ロジックに即して賢明な措置を行ったと指摘した。

「日本沿岸の自衛隊艦船にはすでに米国のイージスシステムが装備され、十分な防衛体制がとられていたことから、地上配備型の米国製ミサイルシステムは当初から不要だったのです」。

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