病理学者で遺伝子学者のクルト・ベニルシュケにちなんで名付けられたモウコノウマの仔馬「クルト」は8月6日、米カリフォルニア州サンディエゴ動物園で生まれた。
Revive & Restoreは今回、ペットのクローン化に取り組む米企業ViaGenと共同で1980年に凍結保存されたモウコノウマの遺伝子の復元に成功した。
同組織は、今回のクローンで用いた細胞について「1975年に英国で生まれた種牝馬の細胞で、1978年に米国に移された」と説明している。
モウコノウマは現在、世界で約2000頭生存しているが、これらは全て1970年代に絶滅を避けるために保存された12種の子孫にあたる。
米国の生物学者ベン・ノバク氏はツイッターで、17年間の研究を経てモウコノウマのクローン化に成功したと発表した。同氏は、今回の成果を科学的なブレークスルーと評している。
生まれた仔馬のクルトに今後、近親交配の影響にさらされているモウコノウマの遺伝子プール(繁殖可能な個体からなる集団が持つ遺伝子の総体)の多様化が求められる。
モウコノウマは、ロシア人のニコライ・プルジェワルスキーが1879年、中央アジアで発見した馬の一種。モウコノウマは現在、世界中の動物園、専門の飼育機関、保護区にのみ生存している。ロシアやモンゴル、中国では、モウコノウマの個体数を野生下で回復させる試みが行われている。