コブゴミムシダマシの暗色の鞘翅は、まるで焦げた甲羅のよう。翅がないため、この昆虫は危険な場面でも飛んで逃げることはできない。しかし、その状況を救うのは動物界最強とされている硬い外骨格。この外骨格は、コブゴミムシダマシ自身の体重の3万9000倍もの負荷に耐えることができる。
研究者らは今回、コブゴミムシダマシの異常な能力に隠された秘密を突き止めた。研究者らはまず、この秘密を解明するべく高負荷をかけた際の鞘翅の挙動を顕微鏡で観察したり、CT(コンピューター断層撮影)を使って調査。その後、3Dプリンターでコブゴミムシダマシの鞘翅の構造を作成し、様々な種類の負荷をかけるテストを行った。
これらの実験により、研究者らはコブゴミムシダマシの強さの秘密を発見。まず、この昆虫の鞘翅の外層は、特殊なタンパク質で補強されることで強度が増していることが判明したという。研究者らによると、鞘翅のタンパク質含有量は、他の甲虫類よりも約10%多い。
さらに、コブゴミムシダマシの鞘翅の中心部分の接続部は、ジグソーパズルを思わせるような構造で補強されている。それでも、このように強化された外骨格でも、より高い負荷をかけられると鞘翅はファスナーのようにはじけ飛んでしまいかねない。しかし、この時コブゴミムシダマシは鞘翅を広げ、表面にかかる負荷を効果的に分散させる。鞘翅の接続部の突起や空洞部分は、弾性のあるタンパク質で覆われていることから、これが接続部の強度を高め、はじけ飛んでしまいそうな時もその構造の崩壊を防いでいる。
Jigsaw-puzzle-shaped seams that hold a notoriously tough insect's wing cases together could inspire engineers. https://t.co/jAPfD5l1Fo
— Nature News & Comment (@NatureNews) October 21, 2020
研究者らは、コブゴミムシダマシの鞘翅の強さの秘密を工学に応用することで、金属や複合材からより強度の強い構造を作ることができると考えている。
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