専門家は今回、考古学調査とスキャニングのデータに基づき、同修道院内の聖エリヤ教会の3Dモデルの作成を行った。
聖エリヤ教会は、1160年代から1200年の間にロマネスク様式で建てられた教会。15世紀にはゴシック様式で再建された。
今回の調査で、その教会の身廊には3メートルほどの壁龕(ニッチ)があり、それが6メートルの秘密の廊下の入り口であることが判明した。洞穴学者によると、その廊下は2.2x2.5x1.25メートルの部屋につながっており、その部屋で動物と人間の遺骨が発見された。
研究者らは、その部屋の壁の小さな空洞に金と銀で装飾された木箱の跡を発見した。当初は木箱の蓋に装着されていたプレートには、十字架とIesus Rex(イエス王) を意味する「IR」の文字が刻まれていた。通常、この文字はキリストの遺物を表している。その箱の中を調べたところ、金で曲がった十字架が描かれている釘の一部が発見された。
研究者らによると、今回の発見は、この秘密の部屋に木箱を隠した人々は、それがキリストの受難の遺物、つまりイエス・キリストの磔刑に直接関係する人工物であると信じていたことを示している。放射線炭素年代測定を行ったところ、今回見つかった樫の木の一部は260〜416年のもの、カラマツ属の木材は1290〜1394年のものであることが分かった。