同通信社は、「活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の『中毒』に対し欧州連合(EU)が導入した制裁に対抗し、ロシアはドイツ政府機関代表の入国を禁止した」と報じた。
報道によれば、その際、制裁の対象とされる具体的な個人名は明らかにされなかった。対象者らはロシアに入国しようとした際にのみ制裁を知ることになる。
この間、ロシア外務省は、アレクセイ・ナワリヌイ氏をめぐる状況からEUによって導入された制裁に対し対抗措置を取ることを公言している。同機関はこの制裁を「断固として容認できないもの」と主張した。
EUによる制裁
EUは10月、ナワリヌイ氏の中毒事件をめぐりロシア高官などに制裁を発動した。制裁対象となったのは、ロシア大統領府のセルゲイ・キリエンコ第1副長官やロシア連邦保安庁のアレクサンドル・ボルトニコフ長官、ソ連時代に神経剤「ノビチョク」を開発した有機化学技術研究所などロシアの7個人・団体。
なお、ロシア政府は関与を否定している。
ナワリヌイ氏中毒事件の捜査
12月14日、反汚職基金(FBK)、 CNN、ベリングキャット、インサイダー、シュピーゲルによるナワリヌイ氏の中毒事件に関する合同調査の結果が発表された。同事件にはロシア連邦保安局(FSB)の職員8人が関与したとされており、電話の通話明細から8人の氏名を明らかにすることができたと主張されている。
ナワリヌイ氏は21日、ロシアの安全保障当局者になりすまして事件に関与したとされるコンスタンチン・クドリャフツェフ氏に電話をかけたと発表した。同氏は、クドリャフツェフ氏との会話の録音を公開した。会話の中でクドリャフツェフ氏は「痕跡が残らないように」するために作戦の参加者らがナワリヌイ氏の衣服を「処理した」と話している。
当局のコメント
ロシアのプーチン大統領は、調査結果の発表から3日後に開かれた大型記者会見で、調査結果は「米情報機関の資料の正当化」だと指摘した。プーチン氏は、ナワリヌイ氏が米情報機関から実際に支援を受けているならばロシア連邦保安庁は「もちろん彼を監視しなければならないが、これは彼に毒を盛る必要があるという意味ではない。誰も彼を必要としていない」と述べた。