ボスから配布された「スマート」クッション:技術進歩の非倫理性から従業員を保護するものとは何か?

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サイン
中国のテクノロジー企業HeboTechnologyが、動きを監視するシステムを組み込んだオフィスチェア用クッションを製作した。同社の従業員がクッションを使って会社に監視されているとSNSに投稿し、憤りの声が上がった。中国の専門家もこのような従業員管理方法の倫理性に疑問を呈した。

杭州市の新聞Dushi Kuaibaoは数日前、会社の上層部からご褒美として配布されたオフィスチェア用の「スマート」クッションを使って監視されているという不満をSNSに投稿したHeboTechnologyの従業員たちの話を掲載した。クッションは従業員たちの血圧、気分、疲労レベルを調べ、座っている時間が長すぎる場合は立つようにすすめられたという。

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初めは誰も疑いを抱かなかったが、その後、何故いついつの時間に仕事をしていなかったのかと頻繁に問いただされるようになり、疑いが持たれ始めた。

Dushi Kuaibaoによると、ある従業員は「私は裸だと感じました。私たちの状態が毎分チェックされ、監視されたので、職場は刑務所に変わりました。これは何もせずにぽかんとしたり、怠けたいという意味ではありません。毎分オフィスにおり、確実に働かなければならないことを証明できる人は誰もいません」と投稿している。

ネットユーザーの多くは、この管理方法に極めて否定的な反応を示し、次のようなネガティブなコメントが寄せられた。

「なぜ社会主義国では人々の資本主義的搾取の事例がこんなに多いのだろうか?」

「従業員を叱る人たちもいる。あなたたちは気が狂ったのか?搾取されることに慣れたのか??」

北京工業大学の文化・法学部のSun Yurong(孙玉荣)教授は、通信社スプートニクのインタビューで、このような従業員監視システムの倫理性について次のように語った。

「このような『ハイテク・インテリジェント・オフィス機器』は、多くの人体データを読み取る。例えば、心拍数、呼吸回数、正しい姿勢などだ。このような機密性の高い個人情報は、プライバシーの権利によって保護されているデータのカテゴリに属す。たとえ職場であっても雇用主は従業員にそのような機器を使って個人データの収集を強いる権利はない。従業員の自発的かつ自覚の上で行われた同意が必要だ。」

技術の発展に伴い、従業員管理の形態はますます多様化している。世界中の管理者が、技術的進歩がもたらした製品を使用している。韓国では嫌がらせが相次いだ2019年、ビデオカメラやボイスレコーダーを内蔵した万年筆、革ベルト、眼鏡などの「007エージェント」製品の販売が急増した。

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世界の大部分が遠隔作業に移行したパンデミックの時代には、従業員を監視するためのアプリやプログラムの需要が高まった。ニュース専門放送局CNBCによると、ActiveTrak、Hivedesk、Teramind、Time Doctor、WorkExaminerなどの米国企業には2020年、従業員がどのようなリンクを開いているのか、どのようなアプリを使用しているのか、どのようなファイルをダウンロードしているのかなど、勤務時間中の従業員の行動を追跡するためにオフィスのパソコンにこれら各社のプログラムをインストールしたいという問い合わせが殺到したという。

また従業員の自宅のパソコンにSneekというプログラムをインストールした企業もある。ビジネスインサイダーが3月に報じたところによると、Sneekは勤務時間中にウェブカメラで1〜5分ごとに従業員の写真を撮るという。

なお、大体において、従業員は監視プログラムの存在を知っている。従業員を規律に従わせたいという願望と、従業員のプライバシー侵害の境界線はどこにあるのだろうか?またこれを規制することはできるのだろうか?

Sun Yurong教授はスプートニクに「現在、ユーザーデータを収集および追跡する製品をつくるハイテク企業がさらに増えている。これらの製品は繰り返し世論の不満を呼んでいる。中国は個人情報の保護にさらなる注意を払っている」と語った。

教授によると、中国では、さまざまな技術を用いて監視されている従業員の権利は今のところプライバシー保護法によって守られているが、このようなツールを使用する管理者の行動は、今のところまったく規制されていない。

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