スーパーボルケーノで気候変動は終わる?
火山の噴火(または一連の噴火)によって地球が冷やされ、人間が引き起こした温暖化を相殺することができるという考えが広まっている。
スーパーボルケーノとは、火山爆発指数(VEI)が8に達する強力な火山噴火のこと。このような噴火は、その周辺地域だけでなく、地球の気候にも壊滅的な影響を与えるのが特徴だ。また、このような火山を「超巨大火山」といい、火山噴出物が大量に発生する。
しかし超巨大火山に関するこの神話は、研究者らによって否定されている。
モスクワ大学機械研究所流体力学研究室のオレグ・メリニク氏は、「火山灰が気候変動を相殺するには、非常に大きな噴火が起こる必要がある。幸いなことに人類の歴史上、そのような規模の噴火を観測したことはない」と語っている。
同氏によると、最後の超巨大噴火は7万4000年前に起きたインドネシアのトバ火山の噴火。様々な推計によると、当時、地球上の全生物の80%が死滅したという。より最近に起きた強力な噴火は1815年のタンボラ火山の噴火で、約7万人が亡くなっている。この年は、この噴火による影響から世界的に冷夏となり、「夏のない年」と呼ばれている。
メリニク氏は、「小規模な噴火は、気候の観点から見てほとんど影響はない」と結論づけている。
ロシア科学アカデミー大気物理学研究所のアレクサンドル・チェルノクリスキー氏は、大規模な噴火だと地球が冷却されるのはたった2〜3年程度だという。地球が最も強力に冷やされるのは、熱帯地方で起こる火山の噴火によるもの。この場合、火山灰は成層圏に到達し、そこで特殊な気流が循環し、火山灰は1年間にわたり地球の上空を移動する。しかし、時間が経つにつれ火山灰は成層圏から対流圏に移り、雨により降下することになる。
チェルノクリスキー氏は、「理論的には、熱帯地域で火山が次々と噴火すれば、火山灰の層が形成され地球は冷却される可能性がある。また、大気中の火山灰の量を維持するためには、2〜3年ごとに噴火が繰り返される必要がある」と指摘している。
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