ブーラ氏はメッセージの中で「私たちは全ての国に対し、分量を確保できるよう注文をするよう呼びかけた」「実際、所得が高い国々は同社製ワクチンを確保している」としている。ブーラ氏によると、ファイザーは低・中所得諸国の当局とコンタクトを取り、同社ワクチンを注文するよう働きかけたが、それら諸国は他のメーカーのワクチンを選択したという。
またブーラ氏によると、ファイザーとバイオエヌテックは価格帯も多層モデルを設定したという。中所得国に対する価格は、最も所得が高い国に比べて半額相当になり、低所得国に対しては実費で提供される。
ブーラ氏は、ファイザーとバイオエヌテックの今年のワクチン供給量は116か国以上に30億回分を予定しており、そのうち現在までに供給された4億5千回分は主に高所得諸国向けだったという。
一方でブーラ氏は、今年の10億回分超(40%)は低・中所得諸国に供給されることに期待を表している。
ブーラ氏は社員宛メッセージの中で、新型コロナワクチンの特許停止という米国政府の提案に反対を示している。原料が不足する中、このような措置はファイザー社にとってワクチンの大量生産の障害となる可能性があるとしている。
米国のバイデン政権は5日、新型コロナウイルスワクチンの知的財産権を放棄することを支持すると発表した。米国通称代表部の声明では、米国はこの問題に関するWHOでの交渉に積極的に参加すると述べられている。
また、国際製薬団体連合会は、米政権による決定に失望させられたと表明した。同機関によれば、新型コロナウイルス用ワクチンの知的所有権の放棄は製薬の生産増加を引き起こすことはなく、同時に、保健分野での世界的危機への対応のための実質的な決定には結びつかないという。