ル・フィガロによると、フランス世論研究所が実施した世論調査では、フランス人の70%がセーヌ川について体裁が悪いというイメージを持ち、セーヌ川で泳ぎたいと答えたフランス人はわずか12%であることがわかった。また同紙は、セーヌ川の水質については100年以上前から主張がなされていると指摘している。ヴァル・ド・グラース研究室の研究者らは1921年、ル・フィガロのインタビューで、セーヌ川で泳ぐ場合には「まず、そこではしゃいでいる細菌のブイヨンを飲み込む量をできるだけ少なくするために、泳いでいる間は口を閉じるべきだ」とアドバイスしている。なお現在も、フランス北西部の港湾都市ル・アーヴルに至るセーヌ川の大部分が遊泳禁止となっている。違反した場合は15ユーロ(約1950円)の罰金が科される可能性がある。
一方、パリ市長は2015年、2024年パリオリンピックではトライアスロンの水泳をパリ市庁舎近くのセーヌ川で行うことをオリンピック委員会に提案すると発表した。セーヌ川では10キロを泳いだタイムで争うオープンウォータースイミングも開催される見込み。
パリ市側は、パリ大都市圏の消毒当局の結論を引用し、過去40年間でセーヌ川の糞便性細菌の割合は大幅に低下し、晴れて乾燥した天候ではこの指標が水浴の許容範囲内に収まっていると主張している。
一方、ル・フィガロは当局の主張に納得せず、セーヌ川の水は今もまだ病気を引き起こす細菌の濃い『ブイヨン』を彷彿させるため、少なくとも、免疫システムが弱い高齢者や子どもにとって十分に安全なのだろうかと疑問を呈している。一方、同紙は、セーヌ川でオリンピック競技を開催することで、川の水質に対するフランス人の不信感が弱まる可能性もあるとの見方を示している。
先にスプートニクは、環境保護問題にパリ市民の関心を引くための独創的な試みについて報じた。ボランティアたちが20メートルのクジラの美術品をつくり、セーヌ川の川岸に設置した。
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