予想外の決断:「ポスト菅」次期自民党総裁は誰に?

© REUTERS / Issei Kato菅義偉首相
菅義偉首相 - Sputnik 日本, 1920, 03.09.2021
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日本の菅義偉首相は3日、今月予定されている自民党総裁選挙に立候補しないことを表明した。菅首相は最近まで総裁選に出馬する意向を示していたが、考えを変え、他候補に次期首相ポストを争うチャンスを与えた。菅首相はなぜ考えを変えたのか、また「ポスト菅」の最有力候補について、「スプートニク」は日本とロシアの専門家に話を聞いた。

予想外の決断

菅首相は3日、自民党本部で開かれた臨時役員会で「新型コロナウイルスの対策に専念したいので総裁選挙には立候補しない」と表明した。今月末に総裁任期が満了するのに伴い、首相を退任することになる。
菅首相は首相官邸で記者団に対し「総理大臣になってから1年間、まさに新型コロナ対策を中心とするさまざまな国が抱える問題に全力で取り組んできた。今月17日から自民党の総裁選挙が始まることになっている。私自身、出馬を予定する中でコロナ対策と選挙活動を考えた時にばく大なエネルギーが必要だ。そういう中でやはり両立はできず、どちらかに選択すべきだ」と述べた。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センター所長のワレリー・キスタノフ氏(ロシア)は、「スプートニク」の取材に応じ、自民党では現在、総裁選に関連して複雑な状況が形成されたとの見方を示し、次のように語った。
「菅氏は前日、(総裁選に)立候補し、国会の早期解散や上層部の人事刷新についても考えていることを明かにした。しかし菅氏が立候補しないという本日の発表は、日本にとって衝撃だ。しかも多くの高官が、このような進展をまったく予想していなかった。ここから混乱が始まっている。」
キスタノフ氏は、菅首相が出馬を断念した理由について、先ず、再選を果たす可能性が低いことを挙げた。
「一つ目に、菅氏は自身のチャンスについてじっくり考えたとき、そこに希望の光はないことに気づいた。二つ目に、党内で極めて強い圧力があった。菅内閣の支持率は26~27%となり、過去最低水準に落ちた。このような支持率や、失敗した新型コロナ対策に関する大きな批判を受けながら国会の選挙に臨むのは、党が明らかに大きな損失を被ることを意味する。党で影響力を持つ人たちが、菅氏にこれらを何とかしなければならないと助言したと思われる。そのメンバーの約40%を占める党の若手たちも、菅氏がトップにとどまると党は大きな損失を被り、長い間維持していた議席を失うことを恐れていた。」
キスタノフ氏は、最有力候補については次のような考えを示した。
「近いうちに選挙運動が展開される。それに多くのことがかかっている。自民党には候補が大勢いるが、最もチャンスがあるのは岸田氏と河野氏だと思う。岸田氏は、新型コロナウイルス対策がメインテーマであることを理解し、数十兆円規模の新たな経済対策を打ち出す考えをすでに発表した。これは有権者の歓心を買う可能性がある。」

「本音を打ち明けるギリギリかつ絶好のタイミングだった」

 明治大学政治経済学部教授の西川伸一氏は、「スプートニク」の取材で、次のように指摘した。
「内閣支持率の低落に歯止めがかからないことに加えて、先月の横浜市長選で自らが推した小此木八郎候補が惨敗したことで、すでに不出馬の腹を固めたのではないかと思います。二階幹事長には自分もやめるからあなたもやめてくれと、実はきのうの会談で因果を含めていたのではないでしょうか。また、党役員人事と閣僚人事は連動していますので、内閣改造にも言及しないと不自然です。なので、6日の内閣改造を打ち上げたのでしょう。これらのドタバタに党内は動揺しました。それを見きわめたうえで、党役員人事刷新を党議決定するきょうの総務会の前の役員会が、本音を打ち明けるギリギリかつ絶好のタイミングだったと考えます。」
一方、西川氏は、総裁選の行方については次のように語った。
「挙げられた4人の中でだれが有力か、今の段階ではまったくわかりません。派閥の締め付けがきかない党員票383票の行方が勝敗を決する鍵になるのではないでしょうか。」
菅首相(自民党総裁)は昨年9月、安倍晋三前首相が健康上の問題を理由に突然辞任したことを受け、日本の首相に就任した。菅首相の党総裁としての任期は9月30日に満了を迎える。自民党総裁選は9月29日に投開票が行われる。
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