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日本も国家備蓄の石油を放出 経済効果はどれほど続くのか
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原油価格が高騰する中、日本政府は米国の要請を受け、国家備蓄の石油を一部放出すると発表した。韓国、インド、英国、中国も同様の措置を講じることになっている。 2021年11月27日, Sputnik 日本
2021-11-27T22:00+0900
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これは世界の原油価格を引き下げることを狙いとして、石油の戦略備蓄の一部を放出するようアジアの主要な原油消費国に呼びかけたバイデン政権の1週間の協議の成果である。「スプートニク」はこれに関連し、アジアの同盟国に対する米国の予想外の要請が、必要に迫られた「絶望の末の方策」なのか、それともそこには原油市場における新たな米国の戦略が隠されているのか、専門家の意見を伺った。またこの「ゲーム」において、日本にはどのような役割が期待されるのか、どのようなリスクがあるのか、また逆に原油価格への影響を与える「切り札」を手にするチャンスがあるのかどうかお話を聞いた。日本の石油の国家備蓄量はおよそ4億9,000万バレルとなっている。日本政府はこの中から年末までにおよそ420万バレル(およそ66万6,000キロリットル)を売却する。ロイター通信によれば、これは日本の国内需要の1〜2日分に相当する。リスクはない日本政府は、米国と歩調を合わせ、国家備蓄の石油放出を決めたと強調しているが、これについて、雑誌「エクスペルト(エキスパート)」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、国益を失うものでないことは明白だと指摘する。しかし、国家備蓄の石油を放出するというような方策で、原油価格に長期的な効果を与えることはできるのだろうか?効果はわずかアンナ・コロリョワ氏は、米国および一連の賛同国の国家備蓄放出という方策による効果は長くは続かないと指摘する。そして結果的に、国家備蓄を放出した分を補うため、また高騰した価格で原油を買うことになるとコロリョワ氏は締めくくっている。心理効果一方、投資会社「インスタント・インベスト」社の金融市場・マクロ経済分析部長であるアレクサンドル・チモフェーエフ氏は、今回の備蓄石油の放出は、OPECプラスの加盟国に対して、心理効果を発揮する可能性があると指摘している。米国はまた、中国をも引き入れながら、自身のイニシアチブに重要な意味を見出しているとチモフェーエフ氏は指摘する。米国は、産油国に対する戦略的武器として、日本、韓国、インド、中国に国家備蓄を放出するよう要請した。これは、状況が、実際に日本の立場に左右されるという稀有な事態ではないかとチモフェーエフ氏は述べている。日本がこうした状況の中、この「切り札」のために米国に歩調を合わせたという可能性もある。ロイター通信は消息筋からの情報として、これはOPECに態度を改めるようシグナルを送ろうとする世界の主要消費国からの象徴的な意味があると伝えている。しかし、米国と同盟国の戦略が長期的に世界的な成功をもたらすかどうかはまだ未知であり、その評価は今後、下されることになる。関連ニュース
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日本も国家備蓄の石油を放出 経済効果はどれほど続くのか
原油価格が高騰する中、日本政府は米国の要請を受け、国家備蓄の石油を一部放出すると発表した。韓国、インド、英国、中国も同様の措置を講じることになっている。
これは世界の原油価格を引き下げることを狙いとして、石油の戦略備蓄の一部を放出するようアジアの主要な原油消費国に呼びかけたバイデン政権の1週間の協議の成果である。
「スプートニク」はこれに関連し、アジアの同盟国に対する米国の予想外の要請が、必要に迫られた「絶望の末の方策」なのか、それともそこには原油市場における新たな米国の戦略が隠されているのか、専門家の意見を伺った。またこの「ゲーム」において、日本にはどのような役割が期待されるのか、どのようなリスクがあるのか、また逆に原油価格への影響を与える「切り札」を手にするチャンスがあるのかどうかお話を聞いた。
日本の石油の国家備蓄量はおよそ4億9,000万バレルとなっている。日本政府はこの中から年末までにおよそ420万バレル(およそ66万6,000キロリットル)を売却する。ロイター通信によれば、これは日本の国内需要の
1〜2日分に相当する。
日本政府は、米国と歩調を合わせ、国家備蓄の石油放出を決めたと強調しているが、これについて、雑誌「エクスペルト(エキスパート)」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、国益を失うものでないことは明白だと指摘する。
「米国の放出量(5,000万バレル)に較べると、日本の放出量はわずかです。ですから、これについて懸念することは何もありません。日本政府は国家備蓄を輸入量の90日分程度(IEA基準)の量にすることを目標としています。しかし、9月末の時点で、日本はIEAの基準ベースで133日分を保有しています。つまり、日本はごく一部であれば、放出することができるのです」。
しかし、国家備蓄の石油を放出するというような方策で、原油価格に長期的な効果を与えることはできるのだろうか?
アンナ・コロリョワ氏は、米国および一連の賛同国の国家備蓄放出という方策による効果は長くは続かないと指摘する。
「いかなる介入も(たとえそれが功を奏したとしても)短期的なものです。効果は1ヶ月も続かないでしょう。しかし、米国は国際協調と同盟国を引き込むということに賭けたのです。これは、彼らが(原油市場に)与えた『刺激』が、全体として、原油価格の引き下げにどのように影響が出るかについての分析です。しかし、この試みはまったく相反する結果を招く可能性もあります。というのも、基礎となる条件がなければ、この介入で持続的な効果は得られないからです。原油価格を低いまま維持するためには、国家備蓄を放出し続けなければなりません。しかし、定期的に備蓄を放出できるという国などないでしょう。またこうした市場への『刺激』は需要の増加を招き、低価格の原油を買おうとする動きが高まり、原油価格は再び上昇します」。
そして結果的に、国家備蓄を放出した分を補うため、また高騰した価格で原油を買うことになるとコロリョワ氏は締めくくっている。
一方、投資会社「インスタント・インベスト」社の金融市場・マクロ経済分析部長であるアレクサンドル・チモフェーエフ氏は、今回の備蓄石油の放出は、OPECプラスの加盟国に対して、心理効果を発揮する可能性があると指摘している。
「OPECプラスは、石油の採掘についても定期的に合意を結んでいます。しかし、原油価格の高騰は、達成された合意が石油の最大消費者の需要を必ずしも満たしていないことを示しています。ですから、米国は、産油国に対し、好ましくない状況になった場合、アジア諸国は団結してなんらかの措置を講ずる用意があるということをアピールしたいのです。つまり米国は石油の放出だけでなく、今後のOPECプラスとの協議において切り札になりうる心理効果に期待しているのです」。
米国はまた、中国をも引き入れながら、自身のイニシアチブに重要な意味を見出しているとチモフェーエフ氏は指摘する。
「米国が中国にも要請したのは、この意義をさらに高めるためです。原油価格の問題は中国にとってはそれほど深刻なものではありませんが、コロナ禍においては、エネルギー危機を実感しました。ですから中国にとっても、これは戦略的な措置となります。しかも、中国はすでに9月に、米国が要請する前に、観測気球を上げ、石油備蓄を放出しています」。
米国は、産油国に対する戦略的武器として、日本、韓国、インド、中国に国家備蓄を放出するよう要請した。これは、状況が、実際に日本の立場に左右されるという稀有な事態ではないかとチモフェーエフ氏は述べている。
日本がこうした状況の中、この「切り札」のために米国に歩調を合わせたという可能性もある。
ロイター通信は消息筋からの情報として、これはOPECに態度を改めるようシグナルを送ろうとする世界の主要消費国からの象徴的な意味があると伝えている。
しかし、米国と同盟国の戦略が
長期的に世界的な成功をもたらすかどうかはまだ未知であり、その評価は今後、下されることになる。