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「日本は消滅する」 イーロン・マスク氏の発言に対する専門家の反応
「日本は消滅する」 イーロン・マスク氏の発言に対する専門家の反応
Sputnik 日本
5月初旬、イーロン・マスク氏が、ツイッターのアカウント上で、日本の出生率が上昇しない限り、「日本は消滅する」と警告を発した。2022年4月に発表された日本の総人口が、1950年以降で過去最大の減少幅だったというニュースを背景に、マスク氏のツイートは移民政策や教育費などに関するネット上の議論を呼び起こした。 2022年5月13日, Sputnik 日本
2022-05-13T21:00+0900
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イーロン・マスク
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「日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって大きな損失となる」米・電気自動車企業「テスラ」のCEOで、世界一の資産家であるイーロン・マスク氏を本当に知る人々は、マスク氏が日本と日本文化が大好きであることを知っている。マスク氏は、子供時代には空手を習い、日本のアニメにも熱中していた(賭ケグルイのTシャツを着用している姿を見せているほか、好きなアニメとして「新世紀エヴァンゲリオン」を挙げたりしている)。数年前には日本の柴犬を飼い始めた。また、2014年に日本を訪問した際には、「ラーメン二郎」を訪れ、「とてもよかったよ。大きい器に大盛りでね。本当に美味しかった」と発言している。このようなエピソードを知っていれば、「日本消滅」というマスク氏のツイートはそれほど衝撃的なものではない。しかも、これは1950年以降最大の出生率減少幅が記録されたという事実を考慮すれば、なおさらである。そこで、マスク氏は、「当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を超える変化がない限り、日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって大きな損失となる」と呟いたのである。実際、日本の総務省が2022年4月に発表した日本の総人口は、2021年より64万4000人も減少しており、1950年以降で過去最大の減少幅だった。日本の政治家らがうまく解決できずにいるこの深刻な問題を厳しく指摘するマスク氏の発言に、SNS上では、「どうすれば人口が増えるのか」という議論が加熱している。懸念かハイプか?とはいえ、誰もがこのマスク氏の懸念を評価しているわけではない。マスク氏にこの問題を解決してほしいとするコメントが相次ぐ一方で、専門家の一部には、歴史的、経済的な文脈なしに、ツイッターでこのような問題について議論するのは不適切だと感じた人もいるようだ。アメリカ進歩センター・安全保障・国際政策チーム上級研究員で日本・韓国専門家のトバイアス・ハリス氏は、「このようなことをツイッターで呟く意味があるだろうか。日本の人口動態の将来に対する懸念は『日本が消滅する』というより、人口減少によって生じる深刻な社会的混乱を引き起こすものだ」と述べている。また、東京大学大学院医学系研究科、国際保健政策学分野の客員研究員である上田ピーターさんは、出生率の問題の基となっているのは、ほぼ半数の日本人が感じている結婚相手を見つけることが難しいという問題であると指摘する。一方、東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授は、マスク氏の発言は日本の未来を憂う現実的なきっかけと捉える必要があると指摘する。「E.R.マスク氏の投稿・主張は、70-90年代には経済面で世界のトップ・リーダーであった日本の将来を憂う現実的な指摘として受けとめなければなりません。わが国の1991年と2020年の出生数と死亡数を比較してみると、まず、出生数は1991年に約122万人、2021年は約84万人と、年間約38万人減少しています。そして、死亡数は1991年に約83万人、2021年は約137万人と、年間約54万人増加しています。つまり、出生数が大幅に減少すると同時に、死亡数が大幅に増えることによって、総人口が減少しているのです。2020年1年間のその数(人口の自然減)は約53万人であり、1年で鳥取県の総人口に匹敵する人口減が生じています。記事にある最新データではその数が約64万人に増えており、これは島根県の総人口に匹敵します。マスク氏の「日本消滅」の指摘は、将来予測として極めて的確であると理解できます」。加えて、近年、マスク氏は、人口問題について発言することが多くなっていることを指摘しておく必要がある。たとえば、2021年9月、マスク氏は、「出生率の崩壊は人類の文明にとって最大の脅威である」とも指摘している。現代の世界において、どこに真の利益があるのか、どこに経済上の利得があり、自身の製品の宣伝がされているのかを知ることは不可能である。高齢化や人口減少に備え、テスラは、人間が一般的にしている作業が可能なヒト型ロボット「テスラ・オプティマス」を開発している。電気自動車製造企業のテスラは、このヒューマン・ロボットを2023年に完成させるため、人工知能(AI)分野における優秀な人材の雇用に集中している。
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イーロン・マスク, オピニオン
「日本は消滅する」 イーロン・マスク氏の発言に対する専門家の反応
5月初旬、イーロン・マスク氏が、ツイッターのアカウント上で、日本の出生率が上昇しない限り、「日本は消滅する」と警告を発した。2022年4月に発表された日本の総人口が、1950年以降で過去最大の減少幅だったというニュースを背景に、マスク氏のツイートは移民政策や教育費などに関するネット上の議論を呼び起こした。
「日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって大きな損失となる」
米・電気自動車企業「テスラ」のCEOで、世界一の資産家であるイーロン・マスク氏を本当に知る人々は、マスク氏が日本と日本文化が大好きであることを知っている。マスク氏は、子供時代には空手を習い、日本のアニメにも熱中していた(賭ケグルイのTシャツを着用している姿を見せているほか、好きなアニメとして「新世紀エヴァンゲリオン」を挙げたりしている)。数年前には日本の柴犬を飼い始めた。
また、2014年に日本を訪問した際には、「ラーメン二郎」を訪れ、「とてもよかったよ。大きい器に大盛りでね。本当に美味しかった」と発言している。
このようなエピソードを知っていれば、「日本消滅」というマスク氏のツイートはそれほど衝撃的なものではない。しかも、これは1950年以降最大の出生率減少幅が記録されたという事実を考慮すれば、なおさらである。
そこで、
マスク氏は、「当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を超える変化がない限り、日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって大きな損失となる」と呟いたのである。
実際、日本の
総務省が2022年4月に発表した日本の総人口は、2021年より64万4000人も減少しており、1950年以降で過去最大の減少幅だった。日本の政治家らがうまく解決できずにいるこの深刻な問題を厳しく指摘するマスク氏の発言に、SNS上では、「どうすれば人口が増えるのか」という議論が加熱している。
「イーロン・マスクにでも政権運営を外部委託したらどうだろう。出生率低下を促進させるような愚策しか取らない今の政治家は全てクビにして」
「子供1人産む度に1000万くらい出さないと改善しないんじゃね?」
「結局政治家は比較的簡単で短期で結果が目に見えやすい政策を取ろうとするから、実際には効果の高くない政策に手間と税金を投入している。本当に少子化対策をしようと考える政治家がいないのだから『今のままなら日本はいずれ消滅する』と言われても仕方ない。まずは馬鹿な政治家を一掃しなければ何も変わらないし、そのためには国民もちゃんと考えて政治家を選ぶべき。ただそれすらも出来ていない現状では、沈んでいく日本に変わりはない」
「出生率低下というけれど、施設は親のいない子どもで定員いっぱい。産む力より、育てる力がだんだん失われているのでは」
とはいえ、誰もがこのマスク氏の懸念を評価しているわけではない。マスク氏にこの問題を解決してほしいとするコメントが相次ぐ一方で、専門家の一部には、歴史的、経済的な文脈なしに、ツイッターでこのような問題について議論するのは不適切だと感じた人もいるようだ。
アメリカ進歩センター・安全保障・国際政策チーム上級研究員で日本・韓国専門家の
トバイアス・ハリス氏は、「このようなことをツイッターで呟く意味があるだろうか。日本の人口動態の将来に対する懸念は『日本が消滅する』というより、人口減少によって生じる深刻な社会的混乱を引き起こすものだ」と述べている。
また、東京大学大学院医学系研究科、国際保健政策学分野の客員研究員である上田ピーターさんは、出生率の問題の基となっているのは、ほぼ半数の日本人が感じている結婚相手を見つけることが難しいという
問題であると指摘する。
一方、東洋大学ライフデザイン学部の高野龍昭准教授は、マスク氏の発言は日本の未来を憂う現実的なきっかけと捉える必要があると指摘する。
「E.R.マスク氏の投稿・主張は、70-90年代には経済面で世界のトップ・リーダーであった日本の将来を憂う現実的な指摘として受けとめなければなりません。
わが国の1991年と2020年の出生数と死亡数を比較してみると、まず、出生数は1991年に約122万人、2021年は約84万人と、年間約38万人減少しています。そして、死亡数は1991年に約83万人、2021年は約137万人と、年間約54万人増加しています。つまり、出生数が大幅に減少すると同時に、死亡数が大幅に増えることによって、総人口が減少しているのです。2020年1年間のその数(人口の自然減)は約53万人であり、1年で鳥取県の総人口に匹敵する人口減が生じています。記事にある最新データではその数が約64万人に増えており、これは島根県の総人口に匹敵します。
マスク氏の「日本消滅」の指摘は、将来予測として極めて的確であると理解できます」。
加えて、近年、マスク氏は、人口問題について発言することが多くなっていることを指摘しておく必要がある。たとえば、2021年9月、マスク氏は、「出生率の崩壊は人類の文明にとって最大の脅威である」とも指摘している。
現代の世界において、どこに真の利益があるのか、どこに経済上の利得があり、自身の製品の宣伝がされているのかを知ることは不可能である。高齢化や人口減少に備え、テスラは、人間が一般的にしている作業が可能なヒト型ロボット「テスラ・オプティマス」を開発している。電気自動車製造企業のテスラは、このヒューマン・ロボットを2023年に完成させるため、人工知能(AI)分野における優秀な人材の雇用に集中している。