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穀物合意 現状と今後の展開
ロシアとウクライナの間の紛争は世界の食料安全保障は問題が先鋭化した。両国ともに農業生産物の輸出大国に数えられるが、戦闘開始後は、穀物の港からの積み出しが難しくなった。これを解決するためロシア、ウクライナ、トルコ、国連は2022年7月22日、穀物合意を締結。合意はウクライナ産穀物を黒海を通って安全に輸送する回廊の設置とロシア産生産物と肥料への禁輸制裁の解除が目的だったが、これが誠実に遂行されていないことにロシア外務省は憂慮を表し、西側諸国の合意違反を非難。この特設コーナーは穀物合意問題についての最新のニュースをご紹介しています。

穀物合意によるウクライナ産食料輸出 最貧国へはわずか25%

© Sputnik / Maxim Durnev / メディアバンクへ移行穀物合意によるウクライナからの輸出第1号となった貨物船「Razoni」
穀物合意によるウクライナからの輸出第1号となった貨物船「Razoni」 - Sputnik 日本, 1920, 16.10.2022
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いわゆる「穀物合意」に基づいてウクライナの港から輸出された食料について、最貧国へ届けられたのは全体のわずか4分の1にしか満たないことが分かった。11月に合意の期限が迫るなか、公平性や延長交渉など課題は山積している。

なぜこんなことに?

国連ロシア代表のドミトリー・チュマコフ氏は、このごろ行われた国連の会合で次のように述べている。

「国連食糧農業機関(FAO)が10月7日に発表したデータによれば、黒海イニシアチブ(穀物合意)によって最貧国に届けられた食料の割合はわずか25~26パーセントだ。全285便のうち、52パーセントにあたる148便は欧州連合(EU)加盟国に向けたものだ。この数字には他地域の先進国は含まれていない」

ロシアと国連の間に7月22日に結ばれた穀物に関する覚書では、ウクライナからの穀物輸出だけでなく、ロシア産の農産物や肥料を世界市場に供給できるよう各種制限を撤廃することが国連に義務付けられている。だが、ロシア産の輸出については完全には達成されていないとロシアは主張。その原因はEUが加盟国への輸出のみを対象に、ロシア産輸出の制限を撤廃しているからで、当初優先すべきとされていた最貧国への輸出制限は未だに残っているからだとしている。
これをめぐっては、11日に米ワシントンで開かれたG20財相・農相会議でロシア代表のシルアノフ財相は「ロシアの港への入港禁止、ロシア金融機関のSWIFT排除、企業への制限などがロシア産食料や肥料の世界市場への輸出を妨げている。だから価格が不安定なのだ」と述べ、制裁に興じてロシア産食糧の世界市場への供給を阻害している西側諸国を批判していた。
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合意の期限は間近、延長は可能か?

穀物合意の期限は11月19日に迫っている。トルコテレビ放送「Haber」によると、国連の担当者は合意を延長できる100パーセントの確信はないとして次のように述べている。

「双方による延長に向けた準備が見えているが、我々はこの先何が起こるか分からない。正しい方向に向かって作業が続けられることを祈っている」

ロシアのプーチン大統領とエルドアン大統領は13日、カザフスタンのアスタナで首脳会談を行い、穀物合意延長の可能性について議論した。プーチン大統領は未だに最貧国への輸出が少ない割合になっていると指摘。エルドアン大統領は、トルコは自国を経由してロシア産穀物や肥料を必要とする国に輸出する用意があると述べている。
一方、プーチン大統領は14日、クリミア大橋で起こったウクライナの特務機関によるテロで使用された爆発物が、オデッサの穀物基地から海上の人道回廊を通じて輸送された事実が確認されれば、最悪の場合ロシアが穀物回廊を閉じる可能性を示唆している。
穀物合意が延長できるかは未だ不透明な部分が多いが、各国が期限に向けて交渉を進めている。
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