植物の「大旅行家」 アメリカ大陸の古代植物がアジアへ「移住」の謎が解明
2023年7月29日, 02:36 (更新: 2023年7月29日, 04:20)
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トウダイグサ科は欧州、アフリカ、豪州に広く分布している。この植物は長い間、アジア原産だと思われてきた。ところが新たな考古学的発見のおかげでトウダイグサが最初に発生したのは南米だったことが明らかになった。数百万年が経過し、南米の気候に変化が生じたためにトウダイグサはアジアへと「逃げ出し」ていたのだ。研究結果はAmerican Journal of Botany誌に発表された。
トウダイグサは砂漠にも温帯にも生息しているが、最も多くみられるのはアジアの熱帯地域で、このためともうひとつ、ニュージーランドで2300万年前の化石が見つかったことから、植物研究者らの間では、トウダイグサはアジア原産と思われてきた。
研究の著者ピーター・ウィルフ氏は、アルゼンチンで見つかった11本のトウダイグサの葉の化石とその周囲にあった火山鉱石から、トウダイグサが5200万年前のものであることが明らかになったと語っている。
これまでトウダイグサは南米の野生には生息していなかったと考えられていたため、予期せぬこの事実に研究者らは驚いた。ところが実際は、トウダイグサは数百年前に最初の故郷である南米を捨て、ニュージーランド、豪州、そしてもちろん、未だにトウダイグサにとって最も居心地のよいアジアへと移動していっただけはない。アフリカまで踏破していたことがわかった。
トウダイグサの葉の化石
アメリカ大陸から一体どうやって移動?
南方の大陸が数千キロもの海洋で隔てられているというのに、なぜこんな大旅行が可能となったのだろうか? 実は、トウダイグサの大旅行はゴンドワナ大陸の分離が完了する前に行われていた。ゴンドワナ大陸とはアフリカ、南米、豪州と当時まだ氷に覆われていなかった南極大陸が合わさっていたとされる超大陸。
ゴンドワナ大陸とそこから分離した「破片」の土地の気候が変わり、乾燥が進んで、低温化すると、トウダイグサはより快適な条件を求めて、旅をしていった。その結果、トウダイグサはもともとの故郷である南極大陸にはもう残っておらず、豪州、特にアジアに残って、快適に生息しているというわけだ。
トウダイグサの葉の化石
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