美のアート 日本大使館で実施の「Japan Beauty Week 2018」

2月16日、モスクワの日本大使館で株式会社JTBコーポレートセールスが主催した「Japan Beauty Week in Russia 2018」というイベントが3日間の予定でスタートした。このイベントは2部構成で、まずセミナーでは日本の化粧品会社代表らが自社製品のプレゼンテーションを行い、マスコミからの取材に応じた後、日本企業との協力に関心を持つロシア企業との交渉が行われた。イベントの中でも最も興味深い点をスプートニクが取材した。
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スプートニク日本

«Japan Beauty Week in Russia 2018»は経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO)、日本化粧品工業連合会(JCIA)、日本大使館の協力を得て実施された。これには資生堂, カネボウといった有名ブランドだけでなく、 くびすじ美人Beauty of Japanといった中小企業も参加した。 レクチャー開始前にスプートニクの記者はくびすじ美人Beauty of Japan の三浦織江代表にお話を伺い、ロシア市場における事業展開と同社の商品について語っていただいた。

今回、日本政府、経済産業省の支援で私たちの会社は初めてロシアでこのようなイベントに参加させていただきました。ロシアは初めてではないのですけど、仕事では初めてです。今回、EAC認証*をとって、通関して、(ビジネスは)今からなのです。これから化粧品として買っていただく取引先はこのイベントとかこれから先の商談会で見つけて行くことになると思います。

*ロシアを含むユーラシア経済連へ製品を輸出する際には、EAC認証マークの取得が必要。

くびすじ美人Beauty of Japanのブース 立っているのは同社の三浦織江代表

くびすじ美人Beauty of Japanの三浦織江代表にロシア市場への期待を語っていただいた。

ロシアは非常に寒いところなので、日本の化粧品はとても保湿に力を入れているので、ロシアのお客様に喜んでいただけるんじゃないかと思っています。しかし、ロシアは税金が高いので日本の商品を乗せてロシアで販売するとたぶん高くなる。果たしてそう言う市場があるのかと色々考えています。

スプートニク:御社の商品の長所や、ここに参加していて、ロシア市場に進出して少なくとも10年という他社にはない強みはなんでしょうか?

ここに来られている会社さんは大手ばかりで、知名度が高いですが、うちは中小企業ですから、全くロシアでは知られていません。でも小さい会社だから大手さんがやらないことができるのですよ。例えば、天然成分にこだわるなど、 中小だからモチーフにこだわった商品づくりができると思います。大手の方は多分こんなことはしないと思います。普通、売って行くと言う点ではこういう原料や特徴的なものを前に出すより、大手さんだったら効果だとか、技術などを売りにさせると思います。でも、大手と同じことをやっていても、やはり日本の場合は正面から衝突しても絶対大手さんの経済力に負けますからね。切り口が全く違うところでせめていったほうがいいのかなと思います。

くびすじ美人Beauty of Japanの化粧品

確かに実際、他のブースの人達と話をし、レクチャーを聞くと、イベントに参加した他の企業は、かなりの部分様々な技術的な部分、化粧品の使用結果にアクセントが置かれている印象を受ける。

特筆すべきなのは、日本企業は全体としてヨーロッパ女性のニーズに合わせようと努めており、ヨーロッパ人の肌特性や気候条件に商品を適合させようとしていることだろう。例えばカネボウはロシア市場参入してすでに15年近くがたつが、あらゆる女性が使うことのできる化粧品を提供している。もちろんアンチエイジングもあるものの、事実上、カネボウの製品はあらゆるものが年齢別ではなく、肌の特性によって選ぶだけでよい。加えて言うと、カネボウをはじめとする日本の化粧品は生産の段階で1日、1カ月、1年のバイオリズムに大きな注意を払っているため、どんな人でもヨーロッパ人でも自分のこの時期の肌特性に合うものを見つけることができる。

カネボウのブース
日本化粧品工業連合会、国際部長の神戸哲也氏にお話をうかがったところ、神戸氏もこうした視点があると指摘している。

日本では冬は非常に乾燥していますし、夏は湿気が多くて肌がべたべたする。そう言うところで色んなタイプの化粧品を開発しているので欧米の方にも合うと思います。特に、スキンケアに力を入れているので、肌に対しての効果をみれば、ロシアの寒いところで肌が厳しい状況になっているときも日本化粧にすごく合うと思います。

資生堂のブース

神戸氏はこう語る一方で、日本人にもロシアに学ぶ点がかなりあるのではないかと述べている。

もしかしたら、ロシアの中にも非常に良い成分、原料があると思います。ですから日本のメーカーもロシアの方を勉強しなければならないですね。

神戸氏は今日の日本化粧品市場の状況と題したレクチャーで日本の化粧品の海外輸出の中でロシアがどのくらいの位置を占めているかに注意を向けた。現段階では対ロシア輸出は海外輸出全体の中でそう大きな割合を占めてはいないものの、財務省の統計によれば、ここ3年、着実な伸びが認められている。神戸氏いわく、2016年、対露輸出の割合は、他の諸国に群を抜いて大きい850億円という対香港輸出のほぼ30分の1で、25億円だった。神戸氏は、化粧品の輸出先別で香港が著しく大きい割合を占めているのは通関で大きな特恵のタリフが用いられていることに関連していると読んでいる。

香港に続くのが中国のおよそ500億円。中国での販売が伸びている理由は中国人ユーザーの中でインターネットショップの利用が拡大していることと関係がある。これに台湾、韓国、シンガポール、米国が続く。全体としてはアジア諸国がダントツに多く、輸出全体の88%を占めている。

日本化粧品工業連合会、国際部長の神戸哲也氏

神戸氏は化粧品輸出拡大の重要な要因となっているのはツーリストだと強調している。日本を訪れた外国人客は化粧品を買い、帰国後も普及したネットショップのおかげで同じ商品を日本から購入し続けるからだというのだ。この意味で神戸氏はロシアに大きな期待を抱いている。なぜなら昨2017年のロシア人観光客は日露関係始まって以来、最多を記録し、前年比で43.8%も増えたからだ。

全体として日本化粧品は伸びる傾向にある。2016年日本化粧品市場は1.5兆円だったが、2017年は初めて輸出が輸入を上回り、2670億円を占めた。同時に世界の化粧品市場と比較すると、日本はまだ米国、中国に上位を譲っており、3位にとどまっている。

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上月豊久駐露日本大使
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くびすじ美人Beauty of Japan社の三浦織江社長の娘さん
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「ロイヤル・コスメティックス」社のトレンド・マネージャ ー、アレクサンドラ・トスクエヴァ氏
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資生堂、販売教育担当ディレクター フィダン・アッバソヴ ァ氏
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Japan Beauty Week
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