動揺しないザギトワ 抱擁でメドベージェワに何を言ったのか 芯棒について 北京五輪について

平昌五輪の女子フィギュアはロシアにとっては、いや全世界にとっても大きなドラマで終わった。エフゲニア・メドベージェワという輝かしい星を慕い、ひたすら仰いでいた15歳のアリーナ・ザギトワが本番で星を跳び超え、金メダリストになってしまったからだ。
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ザギトワ「皆さん、ありがとう!」 インスタでファンに感謝
五輪まではほぼ口をつぐんできたザギトワにロシアのRYテレビの独占インタビューが叶った。

金メダルを取って、次は何を考えていますか?

「次のスタートと来シーズンのプログラムを考えています。どこを変えないといけないのか理解したい。もっといい演技をしたい。」

頭の中はフィギュアスケートことだけしかないのかとの問いにザギトワは「今のところそれ以外は無理」と正直に答えている。

試合後、感情 がほとばしり出たメドベージェワ選手に比べて、ザギトワはうれし涙も流さなかった。ザギトワはあまり心配しないタイプといわれがちだが、感情を表に出すことはないのだろうか?

「全部自分の中に入れて出さない性格なんです。感情を表に出せるのは家に帰ったときだけ。家では親に何でも打ち明けます。まだまだたくさんやることがあるので、激しく感情を表していられないんです。」

メドベージェワ選手の得点発表後、彼女にザギトワが何を言ったかについて彼女は口をつぐんでいる。

「詳しいことはお話しできません。互いにおめでとうと言い合って、温かい言葉をかけあいました。そのほかはあまりにプライベートなことなので、公にしようとは思いません。ジェーニャ(メドベージェワ選手の愛称)の演技の後、表彰があるので私は待っていました。彼女はキス・アンド・クライ・ゾーンにいました。得点が発表されると、ジェーニャは立ち上がって私に駆け寄り、私は彼女を両手を広げて抱きしめたんです。」


五輪では練習途中にドーピングの検体を再度求められるなど、不快な場面もあった。ザギトワは動揺に負けなかった。

「プレスやファンたちからの注目を避け、自分が五輪にいるということを考えないようにしました。これはいつもの大会と変らないのだと自分に言い聞かせ、その心づもりでやってきました。」

わずか15歳でこれだけの大舞台で動じないザギトワにロシア国内でも驚きの声は大きい。より年齢が上の選手が試合開始前にはすでに燃え尽きてしまう例はいたるところにある。

「人生経験はそれほど豊かではありませんが、なんらかの帰結を出すことは自分でできます。お答えするのは難しいのですが、おそらく自分のうちに芯棒があるからではないでしょうか。はっきりに言えるのはキャリアをたたんでしまう一人にはなりたくないということです。ですから平昌五輪後、不快な事態を逃れ、成長し続けるために全力を尽くすつもりです。長くフィギュアスケート界にいられるよう望んでいます。」

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フィギュアスケートのメダリストは確実に若い世代にシフトしている。ついこないだまでジュニアだったザギトワもシニアに移行したとたんに金メダリストになった。

「確かに今、フィギュアスケートはすごいスピードで発展しています。私はジュニアレベルでの出場を終わらせないうちに、すぐに私の後ろに希望者の列がずらりと並びました。数年で今度はこの人らに代わる次の世代が来るでしょう。」

メドベージェワ、ザギトワを生んだトゥトゥベリッゼ監督の門下には4回転を跳べる女子たちがすでにいる。一転して追われる立場となったザギトワだが、

「ワグナー氏やほかの批評家が言ったことを考え始める日がやがて私にも訪れるでしょう。でも私は全力をかけて、少しでも長くリンクにいられるよう、太陽の当たる場所を勝ち取ろうと頑張ります。」

これはつまり2022年の北京五輪への出場表明なのかという問いにザギトワ選手は短く答えた。

「はい。出たいです。」
メドベージェワ選手もそうだったが、トゥトゥベリッゼ監督門下の選手らは自分を崩さず、精神統一をする訓練が徹底している。だがソチ五輪であどけなさの残るリプニツカヤ選手が大輪の華を咲かせた後の結果を知っているロシア人たからは、若すぎるザギトワ選手の達した絶頂を危ぶむ声が早くも漏れている。多くを語らないザギトワ自身が見せた、次の五輪への野心。彼女が望むように少しでも長くキャリアを続け、今以上の見事な演技を見せてくれる日を期待したい。

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