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アガフィアさんは、正教会の古儀式派を信仰する家庭に生まれた。古儀式派とは、正教会の流れをくむ教派で、その信者たちは17世紀に行なわれた正教会改革までロシアで受け継がれていた古い儀式やしきたりを厳格に守っている。他にも、古儀式派の信者たちは、食糧の自給自足や住居を自分で建築すること、衣服を作るための生地を織るといった伝統的な生活様式を守っている。そうすることにより、幸福で純潔な人生を送ることができると、彼らは考えている。
1978年、シベリア南部で鉱山の研究を行っていた地質学者グループが、偶然にもタイガの原野でルィコバさんの小さな住居を発見した。当時、アガフィアさんの他に家族は4人いたが、3年後に次々と2人の兄弟と姉妹が亡くなった。1988年2月に父が亡くなった後は、アガフィアさん一人が残された。その後、彼女は修道院に移り住んだが、アガフィアさんの生活と信仰に対する考え方が他の修道女たちと合わなかったため、数カ月がたった頃、タイガの家に戻ることを決めた。
現在、地元当局と住民たちは、薪の用意や家の修理など、年間を通じてアガフィアさんへの援助を行っている。多くのジャーナリストや作家、また旅行者が彼女のもとを訪れ、だれもがアガフィアさんの歓迎を受けたが、彼女は、当局が提案する町への移住を頑なに拒み続けている。