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火災発生直後、ショッピングセンターの火災に対する安全性がほぼゼロになったことがわかった。現場にいた大勢の客が、ショッピングセンタ-内では火災を知らせるアラームも鳴らなければ、避難の呼びかけもなかったと語っている。人々は上層階で火災が発生したことを、煙の匂いとパニックで逃げ惑う群衆によって知った。知り合いからの電話で建物の外に逃げるよう教えてもらえればいいほうだった。
火災発生時のものと思われる様子がビデオに収められていた。
火災を知らせるアラームが鳴らなかったことがすべての不幸の始まりだった。危険を認識した人々は非常口へ向かったが、なぜか非常口は閉まっていた。その理由は未だにわかっていない。
- 煙の罠
なお、最も恐ろしいことが起こったのは映画館のあった上層階だった。火災発生時、映画上映は中断されず、明りは消されたままで、複数のホールの扉は施錠されていた。アニメが上映されていたホールにいたのは子供ばかりで、映画館の係員は子供たちが外に出ないようにするため、あるいはチケットを持っていない人をホールにいれないようにするためなのか、ドアを閉めた。
「火災が発生した直後、映画館から私の姪のヴィーカが電話をしてきました。彼女はすべてが燃えていて、映画館の扉は閉まっていて開かないと話しました。私は彼女に言いました… 『ヴィーカ、服を脱いで、鼻をふさいで、服の上から息をしなさい』と。彼女は言いました『ママに伝えて、私はママを愛してるって。みんなに伝えて、私はみんなを愛していたって』と。そしてその後、電話が切れました。いま彼女に電話をしても発信音は鳴りますが、誰もでません」。
- 遅れたはしご
消防隊員の行動にも大勢の人が不満を抱いている。死傷者の親族や目撃者たちは、建物の窓には適時にはしごがかけられなかったため、人々は高い場所から飛び降りるしかなく、重傷を負ったり命を落とすことになったと指摘している。
火災当日、SNSには火から逃れるために3階から飛び降りる少年の動画が投稿された。少年は多数の骨折をし、人工的な昏睡状態に置かれた。
少年の家族はこの日、春に向けて子供用の帽子を買うために同ショッピングセンターを訪れた。そして家族全員でゲームセンターに行った時に火災が発生した。だが非常口を見つけることができなかった。父親は少年を窓から押し出したが、他の家族は間に合わなかった。
- 不満を抱く市民
市民やブロガーたちは、死者数の信憑性に疑問を呈している。SNSには病院関係者や救急隊員、遺体安置室のスタッフなどが数百人の犠牲者について語っている音声録音やスクリーンショットが投稿されている。一方、地元当局もロシア非常事態省も同情報を確認していない。
住民たちは、市内中心部で集会を開いている。彼らは火災に関する真実を語るよう当局に求めている。また消火活動に参加した救助隊員が少なかったことに不満を表し、地方指導部の辞任を求めている人々もいる。
悲劇の翌朝、ケメロヴォ市の献血ルームの前には長蛇の列ができた。スタッフはある時点で訪れた人たちに、これほど大量の血液はもう必要なくなったと説明し、全員の献血を受け付けることはできないと伝えなければならないほどだった。
献血ルームに訪れた人々の中には、火災の犠牲者の親族や友人が大勢いた。また火災が発生した日に同ショッピングセンターに行く予定だったが、結局は出かけなかったという人たちもいた。
犠牲者の親族はロシア当局から賠償金を受け取るが、現地の赤十字は義援金の受付を開始した。
プーチン大統領は3月28日を服喪の日にすると発表した。