外交官の代わりに情報機関 トランプ大統領のために「世界最高の合意」のための場所を準備する米朝

米国と北朝鮮は、5月に予定されているトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談の開催場所を選んでいる。驚くべき事実は、交渉における重要な役割を、米国側からは国務省ではなく、中央情報局(CIA)が担っていることだ。CNNが報じた。CNNによると、米朝両国の情報機関職員はすでに数回にわたって秘密協議を行っている。
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今後の交渉を担当するのはトランプ米大統領に新国務長官として指名されたマイク・ポンペオCIA元長官。外交官の役割を情報機関の職員が務めていることは、今後の協議に策動を加えるだけだ。

なお米上院外交委員会は4月12日にポンペオ氏の国務長官への指名承認に関する公聴会を行う。これも交渉プロセスにとって重要だ。ロシア科学アカデミー極東研究所・朝鮮研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員はこのような見方を表し、次のように語っている-

トランプ大統領 金正恩氏との会談時期、遂行目的を明かす
「会談に向けた事前準備は部外者にはわからないように行われているが、誰が新国務長官になるか、そしてその人物が北朝鮮に対してどのような意見を持っているかが考慮されている。しかし、秘密協議が行われているという事実について、朝鮮半島問題で飛躍的な進展が起こる証拠だというにはあまりにも時期尚早だ。すべてが変わる可能性があるため、これはまだ重要ニュースには至っていない。これがセンセーションとなるのは、交渉プロセスで何らかの具体的なことが起こったときだ。現時点では情報騒ぎの一部にすぎない。米国は自分たちが何かをしていることを示そうとしており、ニュースがトップニュースで報じられるように仕向けている。」

プロセスが停滞から動き出したことにおいて重要な役割を演じたのが韓国だ。当初は、すべてを決めるのは米国であり、韓国は何も影響を与えないかに思われた。なぜなら北朝鮮関係で韓国指導部は常に米国の政策方針におとなしく従ってきたからだ。だが結果的にこの韓国が北朝鮮と2007年以来となる南北首脳会談の実施について合意した。ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮モンゴル課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ課長はこのように指摘し、次のように語っている-

メディア「米、北朝鮮との連絡の直通機密チャンネル設置」
「最近韓国で開かれたオリンピックが韓国にとって大きな助けとなった。米国は当初、南北の接近に断固反対していた。だが世界のオリンピック休戦がその役割を完全に果たした。その後、韓国特使団は北朝鮮での会談に関する報告書を持って米国を訪れ、会談結果についてトランプ大統領に直接報告した。トランプ大統領はその報告が気に入った。そしてその時、トランプ氏は金正恩氏と個人的に会う可能性を開いた。米国人は自分たちのアプローチを見直さなければならなくなった。彼らは和平プロセスが自分たちのシナリオで展開し始めるのではなく、プロセスに対する制御を失う可能性が高いことを理解した。情報機関が加わったという事実は予期せぬものであり、情報機関職員がサミットの主催者であることは稀だ。また起こっていることはすべて実際に外交官には秘密にされている。両国の情報機関が準備作業をどれだけ上手く行ったかは、間もなくわかるだろう」。

大きな力が注がれているのは、米朝首脳会談の開催場所の選択だ。北朝鮮は平壌での開催を提案しているが、米国がこのような会談を外国で行うことに同意することは恐らくないだろう。だが金氏がワシントンを選ぶことも恐らくないだろう。決定までの時間は、会談実施の願望と同じように、まだある。ヴォロンツォフ氏はこのように強調し、次のように語っている-

「米国第一」は世界にとって危険なことであもり、チャンスでもある
「中立的な場所の一つとしてモンゴルの首都ウランバートルが検討されている。スイスも外交活動の中心地としてその役割を果たす用意があることを申し出た。さらに金氏がかつてスイスに留学していたことも知られている。北朝鮮にあるスウェーデン大使館は、長年にわたって北朝鮮で米国の利益を代表する役目を正式に果たしている。またサミットの開催場所候補として、ロシアのウラジオストクも挙がっている。すなわち、仲介役の希望者はたくさんいる」。

なおヴォロンツォフ氏は、トランプ大統領と金氏の会談が行われる場所は、もしそれが頓挫しなければ、恐らく直前に発表されると考えている。今はその時を待ち、金氏と大きな合意を結ぶというトランプ氏の願いが実現するかどうかを見るだけだ。

だが、書面による具体的な合意なしに金氏が核兵器を放棄するというのは、今でもやはり、あまりにも楽観的なシナリオのように思われる。

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