シリア攻撃 紛争激化となるか?

米国およびその連合国の英仏はシリアにピンポイント攻撃を行った。これは先日、シリア東グータ地区ドゥーマで行われたとされている化学兵器攻撃への西側諸国の報復となった。この爆撃をもってして、シリア領内の軍事紛争の歩みに本質的な影響が及ぼされることはすでにあり得ない。このことからシリア攻撃は、トランプ氏が自分はクレムリンの手先ではないことを証明する試みだったことがわかる。軍事政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長はスプートニクからの取材に次のような見解を表している。
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「トランプ氏にしてみればシリア攻撃は、自分の政敵に自分がクレムリンのエージェントではないことを分からせる唯一の方策だ。おそらく彼は自分自身のためにこの課題を遂行したのだろう。よって近日中にシリアのミサイル攻撃という形で我々がこのストーリーの続きを目にすることはあるまい。この爆撃を正当化するために欠かせない情報バックボーンもすでに形成されている。つまり今後、新たな軍事行為を行う意味はないということだ。こうした一方で米国のミサイル攻撃後は、シリアの対空防衛は強化されるだろうとみられている。シリアにはロシアの対空防衛手段が装備されていたために投じられたミサイル攻撃の大半はほぼ無に帰した。 ロシア軍参謀本部はすでにシリアへの対空防衛S-300の供給問題に立ち戻ることを約した。ロシア軍は以前はS-300を自国の軍事基地の防衛にのみ用いてきた。」

米国がシリア攻撃 経過と反応
金融大学政治学科のゲヴォルグ・ミルザヤン助教授は、シリアのミサイル攻撃はトランプ大統領のとりうる唯一のアクションだったとして次のように語っている。

「トランプ氏は自分の有言実行に至極満足している。爆撃するぞと約束しておいて、それを行ったからだ。一方で米国がシリアの施設の行ったミサイル攻撃は単にひけらかすための論拠希薄なものだった。実際には何の損害ももたらしていない。ロシアは迎撃には参加しなかったし、その必要性もさしてなかった。なぜなら米軍のミサイルの大半の7割はシリアの対空防衛によって迎撃されたからだ。」

とはいえこれがために米国およびその連合国のミサイル攻撃が国連安保理の制裁を得ずに行われたという事実が過小評価されるわけではない。ロシアは国際法に違反したとして米国を非難し、国連安保理の緊急会合召集を発案した。

ミハイロフ氏はさらに次のように続けている。

「米国は最終的にはユーラシア大陸の中心に自分の支配する国家を建設し、アサド氏を殲滅することに失敗した。それでも米国はシリアで犯した軍事犯罪の責任をシリア政府になすりつけるようとするのを止めない。この非難の対象にはロシアもなっている。今、米国とその連合国らは、アサド氏が東グータ地区ドゥーマ市で自国民に対する化学兵器攻撃を行ったと無条件で決めつけ、これについての強力な情報のバックボーンを作り上げている。一方で、ロシアの諜報機関の調べでは、ドゥーマ市や以前、複数の地区で行われた化学兵器がらみの煽動の裏には西側諸国の息のかかった戦闘員らがいることは明らかにされている。これを明らかにするため化学兵器禁止機関(OPCW)の特別ミッションが組織されたものの、この機関がシリアでの作業を開始する運びとなっていた、まさに4月14日当日に米国とその連合国らはシリア領へのミサイル攻撃を行ったのだ。」

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