安倍首相は田中角栄氏の日本版Watergateを繰り返すのか?

朝日新聞の世論調査によると、国有地が学校法人「森友学園」へ格安で売却された問題が明るみに出た後、安倍首相の支持率は31パーセントまで低下し、不支持率は52パーセントまで上昇した。一方、菅官房長官は現在の支持率低下について、日本政府にとって深刻な問題だとは考えていないと発表した。
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スプートニク日本

自民党の同志らにとって政治的長命としての安倍首相のリソースはまだ枯渇してはいない。一方、小泉純一郎元首相は、安倍首相は6月にも辞任する可能性があるとの見方を示している。安倍首相は、当時の田中角栄首相が辞任した1974年の有名な日本版Watergate(ウォーターゲート)を繰り返すのだろうか?

通信社スプートニクは、モスクワ国際関係大学東洋学講座の主任を務めるドミトリー・ストレリツォフ教授に話を聞いた-

小泉元首相が安倍首相は辞任するとの見方を示しているのは、日本の有権者らが嘘や政治的腐敗のあらゆる事実を極めてネガティブに捉えることに基づいていると思われる。最も顕著な例は、日本の政治にとって最も記憶に残っている1974年の出来事だ。当時、自民党で最も影響力を持つ人物の1人だった日本の第64-65代内閣総理大臣の田中角栄氏が辞任を余儀なくされた。田中氏を辞任に追い込んだのは、土地取引で非難されている安倍氏の場合と似たような『文芸春秋』に掲載された田中氏の評判を落とす記事だった。なお日本の政治では、首相辞任が全体的に政府の名誉をある程度回復させる。首相交代と内閣『一新』は、政府がまっさらな状態から仕事を始めることを意味している。そして安倍首相の辞任により、自民党は有権者の目の前で名誉が回復され、政権にとどまることができる。複数の政治家が、新たな首相がその座を占めるために安倍首相は『森友学園』問題の責任を取るべきだと考えるのは驚くことではない。

このような一連の流れは、ごく普通の日本人も安倍氏は首相にふさわしくないと考えることを助長している。これは共同通信が15日に発表した世論調査の結果によって証明されている。9月の自民党総裁選に関し、誰が次期自民総裁にふさわしいかとの質問で、安倍首相は3位(18.3%)だった。1位は石破茂元防衛相(26.6%)、2位は小泉純一郎元首相を父に持ち、急速に人気が高まっている小泉進次郎氏(25.2%)。なお同氏は現在誰よりも大きな声で安倍首相の辞任について発言している。

一方、安倍首相は2度目の首相就任後、すでに約6年間政権の座にある。ストレリツォフ氏は、安倍氏の経験と政治的影響力は今後の選挙でも決定的な役割を果たすことができるとの見方を示し、次のように語っている-

安倍首相は政権の座にあるこの数年間で強力な個人的カリスマを持つ強い政治家であることを示した。野党には他に強い人物がおらず、自民党指導部においても安倍首相はリーダーの地位を最終的に失ってはいない。安倍首相の政治的バランスは、日本で毎年首相が代わっていたという忘れられない経験によっても明らかだ。このような状況は繰り返される可能性がある。とりわけ野党勢力は弱く、分裂しており、安倍氏の強力なライバルになり得る人物は今のところいない。安倍氏が辞任して新たな首相が誕生したとしても、新首相には国会や国際社会で自身の立場を強化するための時間が必要となる。もし首相がはじめから強くなければ、日本はその間、客観的により弱い立場に置かれることになる。

安倍氏にとって有利な強い論拠は、同氏の個人的な野心だ。安倍首相は、2020年に自衛隊の存在を憲法第9条に書き込んだ改憲を施行すると繰り返し述べている。安倍氏は目標を達成するまで辞任する意向はない。また安倍氏は、2020年の東京五輪開催時にも首相であり続け、個人的な成果とみなしたいと考えている。

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