スプートニク日本
欧州研究国際センター(CIFE)研究員のジョージ・N・ツォゴプロス博士は、「米国と日本の関係における2つの側面を強調することができる。安全保障上の利益については、選挙期間中にトランプ大統領によってなされた一部の批評にもかかわらず、双方で共通している」と考えている。「例えば、トランプ政権は安全保障に関する2国間条約を尊重しており、必要な場合には第5条を適用する用意がある。しかし、経済的利益の分野においては一連の相違点が存在している。トランプ政権は、米国の対日貿易赤字を削減することを目指しているが、将来の協議がどのように発展するのか、そして日本に対して関税を免除する最終合意が承認されるのかどうか、今のところまだはっきりしない。両指導者の会談は、対話を続けるという両者の意向を示しただけで、問題は解決されなかった」。
米国が引き金を引いた貿易戦争に対し、日本と中国の協力がどのように影響する可能性があるか、との質問に、ツォゴプロス博士は次のように答えた。「貿易戦争が世界経済にとって深刻な結果をもたらすという意見に、日本と中国は賛成している。関税の導入は、双方を協力の発展に駆り立てることになる。中国のプロジェクトである『一帯一路』に日本が参加する可能性を河野外相が排除しなかったことは、注目に値する。このような2国間協力は象徴的で、間違いなくトランプ政権にとってシグナルになる。それでもやはり、日本と中国が異なる陣営にいる以上、安倍首相の主な考えは、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定に復帰するよう、そして『目には目を、歯には歯を』という原則で貿易制裁の導入に着手しないよう、トランプ大統領を説得するというものだと私は考えている」。
米ブライアント大学の政治学准教授で、ハーバード大学付属ライシャワー日本研究所(RIJS)研究員のニコール・フライナー氏は、中国と日本の協力が地域情勢の安定要素となる可能性があると考えているが、以下のようにも指摘している。「しかし、仮にそのような事態の発展がトランプ政権にとって好ましくなければ、そして日米関係が冷却化すれば、中国と日本の協力による前向きな効果は大きく減少するだろう」。
北朝鮮問題の解決において、どのような役割を日本が果たす可能性があるか、との質問に、米インディアナ大学メディアスクール准教授、政治アナリストで、『JETプログラムと米日関係 善意の金鉱(The JET Program and the US-Japan Relationship: Goodwill Goldmine)』の著者、エミリー・メッツガー氏は次のような見解を述べている。「どうやら日本には、トランプ政権が実行するあらゆる行動を支持する以外に、別の選択肢はないらしい」。一方、ツォゴプロス博士は、「トランプ大統領の北朝鮮指導者との予想される会談についての安倍首相の立場に関して言えば、日本の首相がこの点に関して幻想を抱くことは恐らくないだろう。安倍首相は金正恩氏を信頼していない」とも述べている。
スプートニクに意見を聞かれた専門家らは全体として、米日関係が「良い」、また「深く、多面的な」ものであると評価している。