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日本庭園を作ろうというアイデアはズベルバンク(ロシア貯蓄銀行)のゲルマン・グレフ総裁によるもの。わずか1年半の工期で、こだわりのつまった日本庭園がほぼ完成した。日本庭園にはクリミアの石も使われているが、それだけでは日本庭園と調和しないので、1400トンもの石を日本から運んできた。桜や紅葉、盆栽といった多くの植物から、ホテルから庭園に降りるエスカレーターの屋根瓦に至るまで、すべて日本から運んできたものだ。日本庭園プロジェクトマネージャーのアントン・ピチコさんによれば、この庭園作りには35人もの日本人が関わっているという。
ピチコさん「一年中素晴らしい眺めになるように、あらゆる種類の木々を用意しました。桜も早咲きのものと遅咲きのものがあります。庭園内の久利宮神社(クリミア神社)の建設開始にあたっては京都から神主さんに来ていただき地鎮祭をしました。5月12日の本格オープンに向けて、鳥居も設置します。すべての工事が終わったら、池に鯉を放し飼いにします」
日本庭園の要となるのが、茶室「望海亭」だ。茶室は主に竹でできており、プラスチックやゴムは使われていない。扉を開けると、ほんのりと天然木の良い香りが漂う。来客に点前を披露するのはヴャチェスラフ・ラプテフさん。裏千家淡交会モスクワ協会の、ロストフ・ナ・ドヌー支部で修行した。ラプテフさんはクリミアに本格的な茶室ができると聞き、クリミアに引っ越して働くことを決めたという。ラプテフさんは、「自分はまだまだ修行中の身ですが、私たちの活動を通して、日本の文化を知ってもらえることが嬉しい」と話す。間もなく、ホテル滞在客は茶会の予約ができるようになる。すでに本格的な茶道具が揃っているが、今後、夏の茶会に合わせて風炉などが追加される予定だ。
美しい所作で点前を披露するラプテフさん
© Sputnik / Asuka Tokuyama
日本庭園のプレオープンに参加した近隣のリゾートホテルの幹部、オレグ・スピリンさんは、「ファンタスティックで、素晴らしいとしか言いようがありません。細かいところまで、美しいだけでなく科学的なアプローチに基づき、丁寧に作られていますね」と話している。