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今回発表されたパワードスーツは同社が開発した2代目モデルである。新型モデルには、筋肉に電極を貼り付けることで筋肉を刺激する装置が追加された。これにより、人間が手足を動かすのを助けるだけでなく、電気刺激によって筋肉や神経の回復を加速させるのである。
エカテリーナ・ベレジイ氏によると、新型パワードスーツは体重100㎏までの人に対応しており、患者一人ひとりの運動器の損傷レベルや自律歩行能力に合わせて設定を変えることができるという。回復が進むと、歩行時の足に対する負担をより大きくすることで、パワードスーツの役割は二次的なものとなる。このようにして、パワードスーツは装着した人を常に回復に近づけていくのだ。
現在、同社は最終テストを行っており、2018年末には販売を開始する予定だ。エカテリーナ・ベレジイ氏は、このパワードスーツはテスト段階ですでに素晴らしい成績を出していると指摘する。10日間の着用訓練で、以前は杖なしでは歩けなかった4人の患者のうち、3人が自力で歩行できるようになった。さらにこの患者の中には60歳以上の高齢者も含まれている。
エカテリーナ・ベレジイ氏は製品発表会で次のように語った。「リハビリ開始時にはあまりやる気がなく、成功を疑っていた65歳の「青年」が、最後には親族にボールを持ってくるよう頼んで、「今はサッカーもできるんだぞ」と言っていたのを見たときは嬉しかったです。彼が自ら屋外に出て行くのを見て、彼の目が輝いているのが分かりました。この男性には、文字通り第二の人生が始まったのです。彼自身、こんなことが可能になるとは想像もしていませんでした。」
Exoatlet社はこの製品をヨーロッパとアジアの市場でプロモーションしていくつもりだ。今年中には日本支社のオープンも予定している。
「日本市場は私たちの会社にとって大きな挑戦です。日本では、私たちの製品は最高レベルのものと比較されることになります。現在、日本はパワードスーツを使った外来リハビリのガイドラインが策定されている唯一の国です。国が自宅でのパワードスーツ使用に補助金を出しています。ですから、日本市場はとにかく巨大であり、信じられないほどの規模を持った整備された市場です。こうした市場で競争できれば嬉しい限りです。」
ベレジイ氏によると、日本市場はこの医療分野の規制を研究する上でも、興味深い市場だという。日本で作られたシステムはロシアの保健医療の発展にとって素晴らしい手本となり、指針となりうる。
ロシアはこの分野でまだ最初の一歩を踏み出したばかりだ。2018年4月12日、プーチン大統領が政府に対し、リハビリでのパワードスーツ使用に関する提案書を策定するよう指示したのである。また、これまでに、Exoatlet社が新型パワードスーツ開発のために優遇条件で融資を受けるとも伝えられている。
「スコルコヴォ・ロボティックスフォーラム」は毎年モスクワで開催。フォーラムではロシア内外のメーカーがロボット技術分野の最新の開発を紹介する。