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レプリカは1905年の対馬沖海戦時に東郷平八郎が実際に着用していた軍服を採寸し、精巧に再現したものだ。帽子、階級章、ベルト、サスペンダー、靴に至るまで、全て本物同様になるよう、細部までこだわりをもって制作された。歴史に残る仕事だけに職人たちの共感を呼び、制作からわずか3か月で完成したという。更に、東郷平八郎のひ孫である東郷宏重氏の協力により、大正天皇が皇太子時代に東郷平八郎に下賜した軍刀のレプリカも作成され、寄贈された。
日露戦争史料館は9年前に、ロシア陸軍師団長だったセルゲイ・シェルシネフ氏の発案で開館した。史料館は230にもおよぶ戦艦プラモデルのコレクションなど、ユニークな展示品で知られている。
田村氏は日露の経済交流を促進する社団法人「OPORA RUSSIA福岡」の会長でもあり、日露の企業・民間交流に尽力してきた。2015年、ロシア外務省は、田村氏の長年の功績を称え、田村氏を福岡におけるロシア連邦名誉領事として決定した。「OPORA RUSSIA福岡」は、食文化を通した交流や医療分野にも力を入れている。
中でも、日露戦争をキーワードとした民間交流は、田村氏が注力している分野のひとつだ。田村氏は福岡県宗像市大島の高台の土地を自費で購入し、対馬沖海戦で犠牲になった兵士の慰霊碑を2013年に建立している。
ロシア連邦名誉領事の田村文彦氏
© 写真 : Toshio Shibata