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モスクワ国際関係大学(MGIMO)のゲオルギー・トロラヤ教授の見解によると、現時点では舞台裏での激しい駆け引きが行われているという。「米国は過度に高められた要求を北朝鮮に対し提示している。特に北朝鮮政府を憤慨させたのは、国家安全保障問題担当のボルトン米大統領補佐官による、北朝鮮の非核化がリビア・シナリオに沿って行われなければならないとの発言だ。北朝鮮指導部が激高するだろうということをボルトン補佐官が理解しなかった可能性はないが、北朝鮮との対話を阻む目的でこの発言がボルトン補佐官によって意図的になされたと推測することはできる。この時点で、次の一手はトランプ大統領に委ねられている。発生した状況をトランプ大統領は上手く緩和させることができるだろうか」。
北朝鮮が望んでいるのは正真正銘の対話であり、自らに対する一方的な圧力ではないと、ロシア科学アカデミー極東研究所・朝鮮研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員は考えている。「トランプ大統領は一度ならず、もし何かが自分の気に入らなければ、拳でテーブルを叩いて立ち去ると述べてきた。北朝鮮にも同じような権利がある。北朝鮮はこれまで、善意のジェスチャーを文字通り次々に示していた。その一方で米国側からは、制裁がさらに長期間続いていくとの声明が出されている。恐らく、北朝鮮指導部の忍耐力にとって最後の打撃となったのは、開始された米韓軍事訓練だった。ここでは、奇妙なことだが、平壌への爆撃の訓練が再び行われている」。
トランプ大統領との6月の会談が北朝鮮の指導者によって中止されれば、最近の南北首脳会談で最も顕著に表れることになった、南北関係の前向きな傾向も最小限に抑えられてしまう可能性がある。しかし、トランプ大統領は依然として、金正恩朝鮮労働党委員長と「偉大な取引」を結ぶことを期待している。だが、これが米国にとって外交的大失敗で終わることにはならないだろうか。