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『ソローキンの見た桜』は史実を基にした田中和彦氏の同名ラジオドラマを映画化したもの。露日戦争中、松山市にロシア兵捕虜収容所が作られた。町は今に至るまでその記憶を保っている。日本人はロシア兵士の墓を丁寧に管理している。
井上雅貴監督がロシア人と共同で映画を撮ったのは初めてではなく、2016年には全編ロシア語の映画『レミニセンティア』が公開された。今回の映画には日露の最も優れた俳優らが招待された。主演女優を演じるのは阿部純子さん。阿部さんは、この映画の撮影は自分にとって大きな責任だとして次のように述べた。
交流の1作目の作品に参加させていただくということで今から胸がいっぱいです。私はこの作品で初めてロシアに渡航するのでいろんなことをすごく楽しみにしております。この作品を通して絆が深まるきっかけになればいいなぁと思っています。
彼女に惹かれていくアレクサンドル・ソローキンの役を演じるのはロシアの若い俳優、ロデオン・ガリュチェンコさん。ロシア映画界からはアレクサンドル・ドモガロフさんが、日本からは収容所の河野所長役を演じるイッセー尾形さんが出演する。イッセーさんは自らの役について次のように語る。
河野所長としてはハーグ条約の捕虜の人権をどこまで尊重するのか日々悩んだと思います。どこまで許されるか、どこまで無視できるか。そういう苦悩、ジレンマがあったと思います。僕はそれをいっぱい体験したいと思います。
映画は南海放送とロシアの第1チャンネルの協力を得た。撮影は6月はじめに松山市で開始し、7月にはロシア・サンクトペテルブルクに場所を移す。
内容はテレビディレクター桜子が松山市でロシア兵捕虜の人生に関するルポルタージュを作るよう指示される。曾祖母の日記から彼女は曾祖母とロシア人捕虜のアレクサンドル・ソローキン少尉の愛の物語を知る。続く露日戦争と日本社会の保守的価値観から、2人は一緒になることができない。ソローキンは収容所から逃亡。何が桜子をロシアに導き、彼女が何を発見するのか、あなたは来年の春に目にする。