ジェトロ、中小企業の日ロ協力を促進:ロシア中小企業フォーラム

23日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの正式開幕を目前に控え、同会場でロシア中小企業フォーラムが開催された。日本貿易振興機構(ジェトロ)およびロシア中小企業発展公社は、同フォーラム内でパネルディスカッション「中小企業分野での日ロ協力の発展」を実施。参加者らは日ロ中小企業の有望分野や課題について報告を行った。
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ロシアは自国の製造業を伸ばそうと外国企業の工場誘致に力を入れているが、実際に日系企業がロシアに生産拠点をおいてみると、様々な課題が見えてくる。ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングC.I.S.は、2016年12月、ウリヤノフスク州にタイヤ工場をオープンさせた。新工場では、年間400万本の乗用車用タイヤを生産している。

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同社の調達部長・大前仁氏は、原材料の現地調達は大きな課題だと指摘する。当初の事業計画では、新工場における原材料の現地調達割合は20パーセント、欧州からの輸入割合は45パーセントとなっていた。しかし操業開始後、欧州からロシアに入るライセンスをもったトラックの台数が少ない、サプライヤーのロシアへの輸出経験が少ない、といった問題が発生。原材料の輸送距離が長すぎるため、ダメージが生じても、責任の所在があいまいになるということもあったという。ロシアで現地調達できれば、これらの問題の多くは解決できる。

しかし、現地調達するには、原材料がメーカーの定めるグローバルスタンダードに沿っていることが必要だ。大前氏は「ここが一番大事なポイントで、例えば異物が入っているなど、グローバル基準を満たさないものがよくある。なぜそれが承認できないのか、きちんと理由を明確にして理解してもらうしかない」と話す。ロシアの中小企業が大手メーカーのサプライチェーンに入るのは、一朝一夕とはいかないようだ。

モスクワとウーグリチに工場をもつフェローテック・ノルド社は、部品の25パーセントをロシア国内で調達している。同社の上村圭司社長は、対ロシア経済制裁によって送金がうまくいかない、VAT還付に時間がかかるなどの問題は見られるが、いずれも喫緊の課題ではないとし、今後もロシアからの輸出を伸ばしていく意向を示した。

SBIバンクの畑尾勝巳会長は、利便性の高い技術を取り入れるロシアの変革スピードは非常に早く、金融サービスも例外ではないと話す。同社はロシアにおいて「家族」にターゲットをしぼり、今年末にはファミリーバンキングとしての包括的サービスを提供する意向を示した。また法人向けには、日本の中小企業をサポートしていく姿勢を強調した。

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福寿園(京都)の子会社「チャイトルグ」の後藤英輔社長は、ロシアは茶の輸入量が世界一であるにもかかわらず、日本茶の存在は微々たるものだと話す。日本茶とはどういうものか、地道な営業を続け、将来的には人口100万人以上の大都市に1店舗ずつ展開したいと希望を持っている。後藤氏は「開店にあたって日本の資金だけに依存するのではなく、ロシアの金融機関で資金調達ができれば」と述べた。

ロシア中小企業発展公社のアレクサンドル・ブラベルマン総裁は、日本企業のローカリゼーション促進を支援するとともに、日本企業がロシアでスムーズに活動できるようにするため、ロシアの法的基盤の改善が必要だとの見解を示した。

ジェトロはこれまで、日ロ中小企業の交流会を主催し、企業間の意見交換促進やビジネスマッチングを行ってきた。また、ジェトロが中小企業を対象に行っているロシア展開支援事業は、専門家のコンサルティングサービスが受けられるとあって、高いニーズがある。

ジェトロの入野泰一理事は、日本市場への参入を希望するロシアの中小企業に対し、ジェトロが昨年10月から開設した「日本×ロシア ビジネスマッチングサイト」を積極的に活用するよう呼びかけた。

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