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RCEPの参加国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国(ブルネイ、ベトナム、インドネシア、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、タイ、フィリピン)及びASEANと自由貿易協定を締結している6か国(オーストラリア、インド、中国、ニュージーランド、韓国、日本) 。先進国4カ国と新興国12カ国の計16カ国だ。2012年11月20日にカンボジアで開かれたASEANサミットで、交渉立ち上げが宣言された。
本当にそうなのか?スプートニクは、杏林大学名誉教授の馬田啓一氏にお話を伺った-
スプートニク: 「世界銀行の世界経済見通し2018年6月版によりますと、日本の経済成長は見通しが明るいとは言えないようです。しかし、 RCEP によって、この見通しよりも日本および参加国が経済成長する可能性があるのではないかと見る向きもあります。 実際のところ、RCEP はどの程度、経済成長に貢献するでしょうか?
馬田啓一氏: 合意される貿易自由化のレベルが高いか否か、非関税障壁の撤廃につながる包括的なルールが作れるか否かによって、RCEPの経済効果が異なりますが、いずれにしても日本の経済成長にプラスに貢献することは確かです。人口減少で国内市場が縮小していく中で日本の持続的成長を実現するためには、海外市場に活路を見出すしかなく、通商戦略の役割が重要であり、そうした観点からTPPやRCEPを位置付ける必要があります。
TPP11と日EU・EPAの早期発効を目指すとともに、残るRCEP交渉と日米経済対話(FFR協議を含む)で日本の思惑通り首尾よく成果を上げることができるか、いま注目が集まっています。トランプ政権に圧力をかけるため、RCEP交渉が年内の実質合意に持ち込めるか、正念場を迎えているといえます。
ロシア人専門家で 世界国際関係学会メンバーのグリゴーリー・ヤルィギン氏はRCEPの展望について、米国との貿易の代替手段にはならないとの見方を示している。アジア地域と米国の相互依存は非常に大きい。しかし、自由貿易圏の枠内における再輸出が可能であるため、RCEPの一部の参加国に対する関税は無意味となる。RCEPの全参加国に対して制限措置を発動し、世界の販売市場の3分の1を失うのは、経済的な自殺だ。同時にロシアにとっては35億人以上の人口と大きな発展の可能性を持つ新たな経済連携の誕生であり、最大のエネルギー資源供給国になるチャンスだ。なぜなら経済成長はエネルギー消費の増加と密接に関係しているからだ。