記録的巨額の米軍事予算 照準はロシア、中国との対立

トランプ米大統領は米国史上最大の7160億ドルもの、10月1日からの来年度国防予算に署名した。この予算案はその前に上下両院を通過していた。
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国際関係、米国の外交政策、露米関係を専門とするのロシアのドミトリー・スースロフ氏はこの事実が驚愕を呼ぶのは予算額の大きさに限らないとして次のように語っている。

「一番驚かされるのは天文学的数値(2018年度予算よりも160億ドルも多いという)の国防予算が、来年度の始まる10月1日まで2カ月足らずという時点で記録的速さで、しかも最低限の検討のみで採択されたということだ。これはつまり、米国はグローバルなライバルを抑止する政策を強化する決定を採ったことを示す。それはまず米国の主たるライバルを明示しているロシアと中国だ。それに露中への圧力問題では米議会は今日、民主党、共和党の両党の100%のコンセンサスが存在している。こうしたことはめったにあるものではない。」

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スースロフ氏「主たる優先は空軍および艦隊の強化だ。これについては2019年度予算では新たに77機のF-35、新型空母の生産を含む13隻の軍艦の確保が見込まれている。これは全体としてトランプ政権の優先事項と一致している。トランプ氏は艦隊の強化を公約していたからだ。とはいえオバマ政権時にはイラク戦争のような長期にわたる軍事作戦を退け、ピンポイント攻撃に力点が置かれるようになっていたが。さらに大規模な軍事作戦を行わずとも世界のいかなる地点においても敵を壊滅させる能力を持つこと。これが核兵器の刷新という具体的項目に220億ドルの予算が割かれた理由のひとつになっている。この予算は現在ある戦略核兵器の運搬 手段の刷新および米国の核ドクトリンに明記されている短距離核兵器を含む新型核兵器の生産に充当される。これが主たる優先事項だ。」

米国は世界最大の軍事費を誇るトップであり続けている。2017年の中国の国防予算は1460億ドルで世界第2位だった。ロシアはというと米中からは遥か引き離されている。スースロフ氏はこのことはまた特筆すべき事実であるとして次のように語っている。

「米国が活発な軍事作戦を展開するために拠出する700億ドルという費用。これはロシアの軍事予算全額のほぼ2倍に相当する。ロシアの2018年度軍事予算は460億ドル。中国の軍事予算はそれをはるかにしのぐ大きさではあるあ、それでも米国のそれとは比較にならない。しかもロシアの来年度軍事予算は拡大どころか、逆に縮小している。」

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国防費が米国の15分の1でNATO陣営の25分の1のロシアが米国と戦略的な同等を堅持することは果たして可能だろうか。ところが米国の軍事費の最たる条項であり、軍事予算全体の半分以上を占めているのは実は世界中にばらまかれた巨大な芸軍インフラの維持費なのだ。ロシアの場合、この条項に割かれているのは軍事予算全体のわずか20%弱に過ぎない。それはそれだけ巨大な軍事インフラを外国に保有していないからだ。このほか軍事予算の有効性は新兵器の生産に直結している。ロシアは軍事分野船隊で今日、軍事力の刷新、開発の速度ではますます優位をとっている。にもかかわらず、スースロフ氏は今の米国は満々の気構えで軍事の絶対的優越をとり戻そうとしているとして、次のように語っている。

「米国の新軍事戦略にはこうある。冷戦後の時代、米国は軍事分野で完全なる自由をほしいままにした。つまり米国は地球のいかなる地点でも軍事作戦を行うことができたし、それを誰も邪魔することができなかった。ところが今日、ロシアと中国が強化され、この状況は終わりを告げた。だから米国軍事予算の大規模な拡大はまさに、米国政権が絶対的な軍事ヘゲモニーという状況の復権を図る構えであることを物語っているのだ。」

とにもかくにも世界はロシアと中国が米国によって敵国とみなされる新たなエポックへと突入してしまった。 そしてどうやらこれは長きにわたる時代となりそうだ。

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