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ロシアと日本の文化交流年の一環として行われるウラジオストク公演は、バレエ『飛鳥』の初めての外国出張公演となる。マリインスキー・沿海州劇場のエリダル・アリエフ首席バレエマスターの話によると、『飛鳥』のような演出は、日本やロシアの他のどのバレエ団のレパートリーにも存在しないという。「この演劇作品は非常にカラフルであり、また鮮やかで生き生きとしている。見事に制作されており、非常に素晴らしい。クラシック・バレエと同じようにトーダンスで進行するが、日本文化の特色も追加されており、その日本文化がこの演劇を、他のどの作品にも似ていないものにしている」。
2人は、身振りの習得やバレエのリハーサルのための時間が、自分たちには僅か2週間しかなかったと認めている。
スクヴォルツォフ「私たちのリハーサルは全て、複数の通訳を伴って行われました。通訳たちは素晴らしく上手にロシア語を話し、私たちは昔から一緒に仕事をしています。言語については、私たちには何の問題もありませんでした。唯一の問題だったのは、それぞれのジェスチャー、身振りの意味を理解することでした。私たちは上演のたった2週間前に到着したので、身振りの方法を習得するエクスプレス・メソッドを受けました」。
ルンキナ「これはとても集中的なものでした(笑)。私たちは3日間でバレエ作品全体を覚え、その後すぐにリハーサルを始めました。以前、ボリショイバレエ団で私とルスランは一緒にたくさん仕事をしていて、お互いをよく知っているので良かったです。私たちには、お互いに対して慣れていく必要がなかったのです。この面では、仕事をするのはより簡単で、私たちは資料を受け取ったり、振付師やダンサー、先生たちと仕事をしたりすることに直に集中できました」。
1957年に発表された、バレエ作品『飛鳥』の当初の解釈では、宮廷音楽である雅楽と、舞楽による舞踊の要素が使用されていた。その後の演出では、片岡良和氏によって作曲された交響楽が伴奏として使われるようになり、2018年からは、最新のプロジェクションマッピング技術が作品中で利用されている。
ルンキナとスクヴォルツォフが初めて日本を訪れたのは20年以上前。長年にわたり出張公演を行ってきた間に、2人のダンサーには数多くの日本人ファンと友人ができた。
ルンキナ「私たちには、自分たちが出演する度に来場してくれる日本のファンがいます」。
スクヴォルツォフ「それに、この人たちは、もし出演に来られない場合であっても、上演後に職員用入口の近くで待っているのです。日本というのは、そこまで暖かく迎えてくれるしきたりがある、たった一つの国です。私たちに対し、そのような愛情を以て接してくれる場所は、世界ではとても少ないのです」。
スクヴォルツォフ「それに、写真を持って来て、いついつの年に一緒に写真を撮ってもらったと言って見せるんです」。
ルンキナ「そうなんです、私には一つ経験があります。ある時、日本から私にアルバムが送られてきました。私は、あるファンの女性がそれを手作りしてくれたということに感激しました。アルバムを開いてみると、自分のバレエ人生の全てが、私が日本で踊った演劇作品の全てが目に入ってきました。それに、このファンの女性は、一番細かい詳細に至るまで全てを、私の毎回の上演と私たちの毎回の出会いを書き込んでいたのです。このことが私を、それ程まで驚かせたのです!これはとても気持ち良く、それ程まで私の心を動かすような出来事でした。こんなことがあり得るのは、日本だけです!」。
アリエフ首席バレエマスターは、日本のバレエ団による初のウラジオストク公演が、露日関係の発展を示す指標だと考えている。「文化というものは、最も偉大な外交官であり、国民同士の間の理解を進めていくことを手助けするものだ。政治を行うのは政治家たちであり、一方、関係を作っていくのは国民だ。そのため、ある国民が別の国民を良く理解すればするほど、関係はより良くなっていくのだ」。