日本の自衛隊は国外で戦争をする準備をしているのか?

8月末から9月初めまでの期間、日本の自衛隊による活動は大幅に強化された。国外における大規模な戦闘行動に向けて自衛隊が準備しているとの推測を、この活動は可能にするのだろうか?
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毎日新聞によると、安倍首相は3日、毎年行われている自衛隊高級幹部会同で訓示し、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べた。同紙は、「憲法に自衛隊の存在を明記する改正に取り組む考えを改めて示した形だ」と伝えている。

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この声明は、雄弁術であると考えることができるかもしれない。だが、同じ日、今年3月に創設された日本の海兵隊「水陸機動団」が、2018年10月に米比両軍の部隊と共同訓練を実施することが明らかになった。「カマンダグ18」と名づけられているこの訓練はフィリピンで実施され、敵によって島が占領された場合におけるその島への上陸に際して作戦行動を調整する訓練が予定されている。ウェブサイト「ニッケイ・エイジアン・レビュー」が伝えるところでは、自衛隊の一部である海兵隊の直接の使命は、島々が外国によって占領された場合に、それらの島々を取り戻すことだという。

水陸機動団は5月、海上自衛隊との共同訓練に参加し、8月には、静岡県御殿場市での実弾射撃を伴う演習に合流した。演習は、敵からの離島防衛のため自衛隊が展開するというシナリオに基づいていた。この演習には合計で、隊員2400人や戦車・装甲車(水陸両用車「AAV7」を含む)80両、ヘリコプター・戦闘機20機が参加し、最新の防衛技術を装備したAAV7が16式機動戦闘車とともに、野外環境で敵目標を殲滅できる自らの性能を披露した。また夏には、水陸機動団による米海軍部隊との小規模な共同訓練がハワイで行われている。

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既に実施された、あるいは予定されている演習の規模と目的を考慮に入れると、日本国外の遠方に隊員を派遣して戦争をする準備を日本が行っている、と推測することができる。もしかしたら、その場所は南シナ海の島々でさえあるかもしれない。

並行して、自衛隊の人員数増加のプロセスが進行している。防衛省は8月12日、入隊の上限年齢を32歳(これまでは26歳)に引き上げることを発表した。公式の理由は、募集対象年齢の若者人口の減少を埋め合わせる必要性だ。潜在的に入隊できる男性の数は、560万人から950万人にまで増加した。

20世紀、世界大戦の時代なら、このような決定は大規模な戦争に向けた動員と準備を意味していただろう。しかし、残りの入隊規則が変更されない当面の環境においては、問題となっているのは恐らく、単純に隊員数の増加だ。現役軍人の数は通常、然るべき年齢の男性の全人口に対する一定の比率で保たれる。自衛隊に所属する24万7千人という数は、古い規則に基づく募集対象年齢の男性の総数に対して、およそ4.4%だ。新たな規則に基づけば、同じ比率を維持した場合、自衛隊の隊員数を41万8千人にまで拡大することができる。

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また、自衛隊の発展における、最近の重要な契機の一部を指摘しておこう。日本の国会は2015年9月19日、国外での軍事紛争に参加するために自衛隊を利用することを許可した。2017年5月には安倍首相が、自衛隊を法的に認めることになる憲法9条の2020年までの改正のため、ぎりぎりの期限を設定した。安倍首相は3日の同じ自衛隊高級幹部会同で、今年末の見直しに向けて立案された「防衛計画の大綱」では、大きな重要性が宇宙とサイバー安全保障に付与されることになると述べ、「安全保障の将来を決定づける極めて重要な大綱となる。今までの常識は通用しない。現実と未来に目をこらしてほしい」(毎日新聞)と強調した。

日本の自衛隊はこの先、どのように発展していくのだろうか?現代的な武装手段を装備し、自国の領土内だけではない場所における戦闘行動に向けて準備が整った、本格的な軍の創設の方向であることは明らかだ。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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