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会談で文大統領が置く力点は、朝鮮半島の非核化だと見られる。北朝鮮と米国の交渉が行き詰まった今、文氏は仲介役の役を果たそうとするだろう。
北朝鮮は一方、まず朝鮮戦争の終戦宣言を締結したい。その後に自国の核兵器の国際的な監査に関する協議へ移る準備ができる。米国は主張する順序は逆だ。
「平壌の迫る第3回首脳会談で、文大統領と金委員長の間でこの点の合意ができることを期待している。平壌から戻る文大統領が、この報せをワシントン(米政府)に伝えることができるからだ。そして、北朝鮮の非核化をめぐる全体的な状況を考慮すると、終戦宣言と、監査実施に向けた核施設リストの提出は問題ではないと思われる。だが、文大統領が指摘したように、北朝鮮と米国の首脳には、このためには勇敢で創造的なアプローチを示す必要がある」
韓国の提案は
文正仁特別補佐官によると、朝鮮戦争の正式な終戦に関する韓国の提案は4要素を含む。第1に、65年間続く普通ではないこの戦争状態の終了について、韓国、北朝鮮、米国が直接宣言すること。第2に、全関係国間の敵対的な態度を止める義務と政治的な宣言。第3に、現在の休戦状態を、平和条約調印まで保つこと。つまり、米軍の司令官が指揮を執る朝鮮国連軍司令部も、軍事境界線も、休戦協定で指定された中立国監視委員会も、変わりなく存続することを意味する。そして最後に、朝鮮半島の平和維持のため、北朝鮮を非核化することだ。
文大統領は先に、終戦宣言が北朝鮮の非核化開始のための道具だと指摘。終戦宣言が採択されれば、北朝鮮は核軍縮に関して何かする必要があるからだ。それが核施設のリスト提出であれ、国際的な監査実施であれ。
重要な条件
核軍縮に関しては、全てが非常に明白だ。核施設、核物質、核弾頭、ミサイルといった全要素の廃棄、そして核兵器の開発・製造の関係者、つまり原子力科学者と技術者全員の解雇だ。だが、これには多くの時間を要し、全方位に多くの義務を課す。そのため、非核化プロセスでは一定の譲歩もあり得る。文正仁特別補佐官は述べた
文正仁特別補佐官は、金委員長がすでに、トランプ米大統領の1期目の任期内に非核化を完了させる意向を示したことを指摘。だが、急進的で勇敢な動きが必要とされる。例えば、北朝鮮が部分的な核弾頭の廃棄を許可する。すると米国は北朝鮮に、非不可侵条約などの一定の政治・軍事的保証、そして制裁解除や北朝鮮が国際社会の正式な一員になれるよう援助するなどの経済的保証を与えるというもの。
中国は?
北朝鮮の核問題解決における周辺国の役割を話す文正仁特別補佐官は、中国の習近平国家主席の最近の発言に特に注目した。習氏はウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで、終戦宣言と平和確立に言及した。
「習氏は、終戦宣言と平和確立のためには、北朝鮮、韓国、米国の相互作用で十分だと述べた。なぜなら、これらの国は直接的な参加者だからだ。だが、朝鮮半島の完全な平和確立問題は、6者会合の枠組みで解決する必要がある。ある程度、私はこれに同意する。だが、大切なことは、これが新たな一歩だということだ。これまで中国は、自国が終戦宣言と朝鮮半島の平和の参加者である必要があると述べてきた」
「朝鮮半島の平和と安定は北東アジア全域の平和と安定抜きに確立されない。これらは不分離に結びついている。だがもし、2005年9月の協議の結果をまとめた共同宣言を見れば、その末尾にはすでに、北東アジアにおける平和安全メカニズム創設の条項がある。そのため、韓国、北朝鮮、米国がどうにかして終戦宣言と、機能する平和条約の締結に関して合意できれば、あとは中国、ロシア、日本と協力して、北東アジアで平和安全アーキテクチャを構築することに大きな困難は起きないだろう」