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未来のプロジェクト
I・TOP横浜「未来の家プロジェクト」は、日常生活の質を高める新製品を開発するよう企業の背中を押す狙いで横浜市が考案。参加者は次の問題を検討した。未来の家とは?家庭用の機器を使い、1人で住む高齢者の生活の質を高められるか?家が健康的なライフスタイルを行う助けになるか?
こうした問題に答えるため、日本の大企業9社が実験用にスマートホームを建設。去年12月には初の居住者が生活を開始した。被験者は1週間ここで生活し、次の被験者に交代する。実験中、被験者は出勤を続け、いつもの行為を行い続ける。居住中とその後で得られた情報や感想は今後、新技術の開発と導入のため利用される。
実験に参加した企業であるドコモの山下顕氏は語る。
「ひとつの目的は商用化です。このスマートホーム自体が商用化されることも、一部の機能だけが売られることも考えられるかと思います。」
小さいが本当にかしこい
全てのデバイスは毎日家庭で繰り返される作業を容易にするというよりは、居住者の健康レベルを管理する。床拭きロボットや音声操作のコーヒーマシンはない。その代わり、スマートミラーがある。鏡には顔だけでなく、天気や外気の状態も表示される。家にある全てのデバイスは1つのクラウドに接続され、同期されている。そのため、鏡は体重や睡眠の質も表示できる。
スマートホームでは通常のスマートフォンを使い、食事がどれほど健康的かを知ることができる。テーブルの上には、食事を入れた皿の真上に丸い穴が来るように穴を開けた棚がある。その棚にスマートフォンを置き、穴から食事の写真を取ることで、写真から食事のカロリーや健康度を測定できる。
こうした家の値段は残念ながら分からなかった。
「明確な答えは出せないのですが、家1軒を建てると考えた時にそのIоTに関する価格は本当に微々たるものになると思います」と山下顕氏は指摘した。
被験者の意見
今年9月、若いエンジニアがスマートホームに居住し、私たちに匿名で感想を語ってくれた。
「今、エンジニアとして働いていて、IoTがどのようなことを教えてくれるのか、どういった情報が必要なのか、実際に参加して、居住者の角度で知りたいと思いました。このスマートハウスはとても便利だと思いました。特にスマートミラーという機材があるんですが、それで毎朝、情報が見られることがとても助かりました。特に気を付けるようになったのが睡眠と食生活で、機材でその両方のデーターがとれ、どれくらい眠れたか、どの栄養素をどれくらいのカロリー取ったかがわかるので、自身の生活に気を付けるようになりました。」
Q:一番役に立ったのは何でしょう?
A:個人的に思ったのは、決まった時刻にストレスとかが図れるんですが、それがいいなと思いました。実際どれくらいのストレスがあるかがわかるんで、どういうことをしなきゃいけないかなっていうのが考えられますよね。
Q:実験に参加することで生活に障害がでましたか?
A:ほとんどなんの障害もなかったです。
Q:不便なところがありましたか?
A:セコムなど、どうしてもセキュリティーがしっかりしているので、家に入ったり、出たりするのが少し不便だなとは思いました。
便利さの裏側
山下顕氏も、家のセキュリティは非常にしっかりしていると述べた。家から出入りする時は毎回、特別なコードを入力する必要がある。だが、家の中にいる人間は安全なのか?摂取カロリーや睡眠時間、体重、視聴したテレビ番組、移動などの情報は全て、開発企業がアクセス可能。これはつまり、1人きりだと感じる時でさえ、スマートホームの居住者は常に監視状態にあるということなのか?
「個人情報は誰が持ち主なのかという議論がよく持ち上がります。私の考えではデーターをとる居住者の方が持ち主です。居住者が同意をした上でそのデーターをどう活用するのかということを必ず明確に伝えることが重要だと思います。メリットを感じた方がそれに同意した上でサービスを受けるという枠組みが必要です」と山下顕氏は答えた。
山下顕氏はプロジェクトの将来を語った。
「今、ホームオートメーションという部分があまりできておらず、ようやくデーターが集まってきた段階ですので、それをいかに料理して居住者にとってメリットのある情報に変換するか、つまりAIの部分をより力を入れていきたいと思っています」
スマートホームは危険なのか、便利なのか。あなたはどう考えますか?