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築地市場同様、豊洲市場も疑いなく世界最大の卸売市場になるだろう。最先端の国にあるそうした市場はおそらく、こうあるべきなのだろう。巨大で明るく、はっきりと区切ったエリアを持つ市場。観光客がこれ以上、しつこいカメラで市場関係者を邪魔しないようガラス越しの見学者コースも設置されている。見学コースには下からの怒鳴り声も匂いも届かない。コースは広々としていて、ここから有名なマグロの競りを見られる。確かに、ガラス越しで数メートル上からだが。だが制限は一切ない。どうぞ来て観てくださいというわけだ。以前の築地市場では希望者の殺到と日本基準では「行儀の悪い」行動が原因で、観光客の入場人数とシーズンに制限が課された。
「これが市場ですって!こんなに大きくて、どこにいるかもうわからない」エスカレーターで3階に登りながら、2人を連れた中年の女性が話す。
「市場じゃなくて、巨大なスーパーみたい。フィッシュモール?」と乳母車を引く若い父親も同様の見方を示す。
「すいません、ここで魚が買えるようになるのはいつですか?」こうしたナイーブな質問に、市場関係者は丁寧だが疲れた、暗記した答えを返す。答えは非常に簡潔だ。「できないんですよ。買うにはバイヤーにならないと」
魂は壊せない?
レストランは別のエリアに移った。全てが新しく、それぞれの前には顧客からの開店祝いとしてコチョウランが飾られている。ここでも築地同様、小さな寿司屋、行列、人々、ショーウインドーがある。
小さな寿司屋の周りの観光客用の場所には3人の料理人がいた。前代未聞の光景だ。3人は全員、大きな声で笑っている。
「調子はどうかって?全部最高だよ!もう閉店だ。以前通り働いて、正午までだよ。今日が1日目だ。お客さんもやって来る。売上はまだ数えてないけど、確実に言えることは、順調だよ!みなさん、築地から私たちのためにここに来てくださって、ありがたいです」と3人で最も饒舌な男性が語る。
「もう閉店ですので、次回また来てください。今日は1日目で、大わらわ」と鰹節屋の女主人が嘆息する。60歳とも90歳とも見えるこの女性は「5時までってどういうこと?ちょっと、こんなこと聞いてた?」と店の奥で叫ぶ。サイトには市場の営業時間が朝10時から午後5時だと記載されていると知ったのだ。「いつも通り働きます。朝早くから正午まで。いつもそうだったように。私たちのところ、築地ではね」と背筋を伸ばし、突然発露した誇りを持って彼女は述べる。
豊洲市場は11日、市場関係者向けに正式オープン。13日から一般人も利用できるようになった。専用デッキでマグロの競りを見学できるのは来年1月15日から。
クセニヤ・ナカ